書評/新聞記事 検索  図書新聞は、毎週土曜日書店発売、定期購読も承ります
ノンフィクション
何かを続ける熱意の源、に触れる本
書籍・作品名 : 新版 未知の星を求めて
著者・制作者名 : 関勉  
秋月   39才   女性  





 6個の彗星と223個の小惑星を見つけた世界的なコメットハンター・関勉さんの名著が復刊した。旧版を読んで天文学者を目指したという研究者も多いと言われるだけあって、小学生でも理解できるくらいに読みやすい。

 内容はノンフィクションの彗星発見物語だが、専門用語は少なく、その時々の関さんの心理描写を中心に話が進んでいく。彗星は発見者の名前がつくが、そのタイミングはライバルとタッチの差だったり、悔しい思いや歓喜の瞬間などスリリングな展開もあり、冒険小説を読んでいるようなワクワクドキドキできる。純粋に読んで面白い本である。

 ライバルや恩師や先人の天文家が何人も登場するが、その人たちを表現している言葉に、関さんの温かさを感じる。

 戦後の荒野から、何もない中で手作りの望遠鏡で始めた観測を、なぜ何十年も続けられたのか。彗星発見まで12年間の中にはくじけそうになった時期もあり、そんな悩みも誠実に書かれていて、これから学問の道を志す子供たちにも読んで欲しい1冊だろう。

 「夢を失わず、一つの目標に向かって人間的な努力を捧げる事」について、関さんの考え方、何かを続けるための熱意の源に触れることができる本だと思う。
 
 太平洋戦争前後の話も多く、電報で届く連絡や、資料の取り方、空の明るさの変化などで社会の変化に触れることもできる。今の時代に当たり前にある環境も、当たり前ではないと改めて気づくことができ、読んでいくうちに何かしら感謝の気持ちもわいてきた。

 私は天文の知識はほとんど無いが、この本を読んで天文や宇宙に対しても、改めて興味を持てた。それだけでなく、いま自分が取り組んでいる仕事や趣味も、もう少し前向きにやってみようと気持ちが元気になれた。ビジネス書よりも深い人生読本だと思う。






サイト限定連載

図書新聞出版
  最新刊
『新宿センチメンタル・ジャーニー』
『山・自然探究――紀行・エッセイ・評論集』
『【新版】クリストとジャンヌ=クロード ライフ=ワークス=プロジェクト』
書店別 週間ベストセラーズ
■東京■東京堂書店様調べ
1位 マチズモを削り取れ
(武田砂鉄)
2位 喫茶店で松本隆さんから聞いたこと
(山下賢二)
3位 古くて素敵なクラシック・レコードたち
(村上春樹)
■新潟■萬松堂様調べ
1位 老いる意味
(森村誠一)
2位 老いの福袋
(樋口恵子)
3位 もうだまされない
新型コロナの大誤解
(西村秀一)

取扱い書店企業概要プライバシーポリシー利用規約