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ノンフィクション
髙橋塾の教科書
書籍・作品名 : たのしい知識
著者・制作者名 : 高橋源一郎  
いなり寿司   58才   男性   





髙橋源一郎「たのしい知識」の第2章、「汝の隣人」という一つの朝鮮半島論を読んで思うのは、日本もポスト・コロニアル(ポスト植民地主義)の問題を抱えているという事です。戦争という歴史を通じて、アメリカに占領され、それ以前に朝鮮半島・中国の一部を占領していた事実とその周辺の入り組んだ事情です。
それは現在の国内においても、軍国主義者は自国を植民地化して国民を搾取し、隷属させることを企図し、利用価値のある反共団体と結託して自国を乗っ取ろうとしています。
それは憲法(前文・第1条・第9条)に関して、それが決して押し付けられたものではないという認識の必要でもあり、天皇の位置付けと戦争放棄の意味するところを学ぶ事の大切さでもあると思います。それは第1章「ぼくらの憲法(天皇)」で述べられていました。
第3章「コロナの時代を生きるには」では、混沌とした時代にパンデミックは襲来し、消え去ったかのように見えて、また襲来する。そこに意味を見出そうとして奮闘する「言葉(物語)の記録者」である人達と、物語故にそこに存在するタブー。感染症と文明、戦争との共存。高橋氏らしい文章だと思います。「詩のボクシング」を思い出しました。
この本は、戦争の悲惨にも、半島に対する加害の実態にも、災害資本主義にも触れてはいませんが、敢えてそうしているかのようです。何か心に引っ掛かったものがあった時、それに関して考えるきっかけとしての知識を知ることの楽しさ、大切さを感じればいいのだと筆者は言い、新しい教科書として書いています。この本に提示された3つのテーマ、及び高橋氏が取り上げた原典と論述は、いくつかの事例という範疇だと思います。高橋氏の目の付け所、独自の視点は面白いです。






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