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音楽
モーツァルト読書道楽
書籍・作品名 : 「モーツァルトは宇宙」(音楽之友社)
著者・制作者名 : 海老沢敏  
endohmame   70才   男性   





「彼(モーツァルト)の魂は、宇宙の中心へと旅することによって宇宙の鳴り響く法則、宇宙の音楽を、その魂の眼で見、魂の耳で聞き取ったのであった。こうして・・・彼の音楽には、こうした宇宙の調和が、宇宙の音楽が支配し、揺るぎない世界を創造しているというべきであろう。私たちはモーツァルトの曲に聴き入ることによって、彼の魂に私たちのそれを重ね合わせ、その思いを同じくし、宇宙の調和、宇宙の音楽を聴き、あるいは宇宙そのものを己のものとすることも出来るのだ。」そこで「モーツァルトは宇宙」とのこの著書の題名となるわけである。素晴らしい指摘ではないか。全く同様に私も感じるのである。もし、芸術というものの内実的定義を、「神の創造をなぞるもの」とするならば、まさにモーツァルトの音楽はその典型である。全き調和の世界、それはまさに瑞々しく、生命の美しさが横溢し、喜びに満ちた世界、即ち神が創造し、神自らが「はなはだ良し」と宣言した世界が実在するのだということを確信させてくれるもの、それが芸術だとしたならば、モーツァルトはその模範的な存在なわけである。この著者は、小林秀雄の「モーツァルト」にも、その出会いの場面と共に特別の思いを抱いている。わたしにとってもあの評論は忘れがたいものである。「疾走する悲しみ」、「万葉人が「かなし」と表現した感情をまさに音で表現したもの」、「道頓堀で夕日をみていて39番シンフォニーのフィナーレのテーマが突然に頭に浮かんだ」等の今の記憶のままに述べても、直ぐに印象的なテーマ部分が浮かんでくるあの「モーツァルト」である。それに感激したあの気持ちをそのまま持ち続けたいものだ。ところでこの本は、モーツァルト没後200年のあのブーム時代を挟んだ時期に書かれているもので、「このかけがえのない存在を、単なる商品として扱い、利益さえ上げようと目論む、あるいはモーツァルトを己の名声のための手段としてのみ考える一部の動きに対しては大きな危惧の念をもって反対し、抵抗したいと思うのだ。」と著者は言う。そうも思えない私は不真面目なのかも知れない。あのブームの際にモーツァルト一家を描いた有名な絵画のジグソーパズルが出た。私は欲しくて堪らなかった。やはりあのブームに便乗し、ある部分を押すと周辺が光り、かつ、キラキラ星のテーマが流れる女性の下着が出た。こんなものはモーツァルトもキャッキャッと喜びそうだなどと私はおもってしまうのである。別に下着に興味があるわけではない。モーツァルトにあった遊び心も大事だというのである。妻よ、誤解のないように。






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