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ノンフィクション
プロ野球黎明期にまん延していた八百長野球
書籍・作品名 : 八百長リーグ
著者・制作者名 : 山際康之  
ヒーリングタイム   64才   男性    http://blog.livedoor.jp/yakiba0985/





この本は本屋さんで目に付き、中をパラパラとみて面白そうなので購入。実際、面白かった。

著者の山際康之氏は、59歳。東京造形大学学長。もともと東大で博士号を取りソニーに勤務。ノンフィクション作家としてスポーツ関連の作品も多い。

プロ野球関連の八百長事件としては、昭和44年の西鉄ライオンズの選手を中心とした黒い霧事件が有名。当時、私は、15歳だったので、よく覚えている。

西鉄の若きエース池永正明、同じく東映の若きエース森安敏明、さらに別件のオートレース八百長事件で中日のエース小川健太郎他、多くの選手が球界を追放された。池永は、長年無実を訴え、数年前に復権を許された。

この内、実際にテレビで見た記憶があるのは小川だけ。当時、パリーグのテレビ放映は、ほとんど無かった。小川は、巨人の王に対する背面投げも見た。

「八百長リーグ」で描かれているのは、昭和11年発足した「職業野球」と呼ばれていたプロ野球黎明期のもの。

戦前、戦中、戦後、弱小球団は、選手の給料も安く暴力団などの野球賭博に関わる八百長依頼に応ずるものが出始め、球団が、それを察知して内々で処分している内に、昭和17年頃になると南海を中心にリーグに八百長試合がまん延。

お互い別の組織から負けを依頼され、延々、負けようとするが、なかなか決着がつかないなど面白いエピソードも満載。

その後、南海は、疑惑選手を全員解雇。ところが戦後、彼らの内、何名かは、球界復帰。中には野球殿堂入りする選手も現れる。

作者は、かなり年月の経った、これらの事件を丹念に調べ、疑惑選手の証言などもあり丁寧に当時の実態を描いている。

私の子供の頃は、長嶋、王の巨人による9年連続日本一の直前の時代だったので、それ以前のような「職業野球」を蔑む感じは、薄れていたが、当時、野球関連の本を、結構、読んでいた私は、何故、プロ野球を「神聖な野球で金を稼ぎやがって」といった感じを持つ人が居るのか意味が分からなかった。

しかし、関係者は元より、野球を見慣れたファンにも、薄々、八百長野球の実態を見抜かれていたという事を考えれば、そういったことの積み重ねが当時の一部ファンなどのプロ野球蔑視に繋がっていたのではないかと納得した。

伝説の投手、沢村栄治に対する巨人の冷たい扱い、私の子供時代、野球解説者として人気があった小西得郎が明大卒業後、上海でアヘン密輸をやっていた話、八百長追放に尽力した「カミソリ龍二」と呼ばれた鈴木龍二も健在だったし、当時を想像して面白く読了した。






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