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評者◆図書新聞編集部
絵本とインディーズの店  ブックギャラリー ポポタム
No.2873 ・ 2008年06月14日




 JR目白駅と池袋駅のほぼ中間、静かな住宅街のなかに「ブックギャラリー ポポタム」がある。入ってすぐ、絵本中心の古本・古雑誌、雑貨が並び、読書もできる温もりある木製テーブルがどっしり構えている。奥半分はギャラリー・イベントスペースだ。大林えり子、サワダトールのユニット名である「ポポタム」は、フランスの作家レオポルド・ショヴォーが息子に語り聞かせる物語のシリーズに出てくるカバの名にちなむ。そこからも推測できるように、「絵本」に重点を置いた店舗・ギャラリーであるが児童書、家庭、社会、文学、アート、と棚が広がる。開店四年目を迎える。
 サラリーマンだったサワダさんとライター兼編集をしていた大林さんがこのお店を始めるまでには前史がある。02年から地元石神井で、イベントスペース「はらっぱハウス」を仲間とともに共同運営する。子どものワークショップや大人の講座などを行う、いわば「自転車圏内」の寄合所だ。一方子育て中の二人は、日常に抱く違和感や言いたいことを表現するため、ミニコミ誌「ポポタム」を作り、雑誌「harappa」を創刊。その第3号(04年4月)で、何もかもが手作りの高知県・沢田マンションを取材、セルフビルド精神に触れたことで、大いに刺激を受ける。全ての内装を自分たちで手がける「ポポタム」は、こうした場所や雑誌作り、絵本へのこだわりの一環として誕生する。手作りの質感、雰囲気を気に入って個展を望む作家も多いという。
 大林さんは、絵本には「ロックでアナーキーなもの、社会に訴えるものもあるし、生命力が爆発するパンチの効いたものもある。可愛い、無垢なものだけではない。そこが面白い」と語る。店を構えたことで、それまでになかった出会いも生まれた。「古本業界には詳しくなかったのですが、古書店の方との付き合いができ、古本祭りや他のイベントに混ぜてもらったり、絵本と自分以外の関係に広がった」。「お客様との繋がりも大きいですね。古書的な価値だけでなく、やはりいい本が売れます。いつも同じ方が来ているわけではないのに、本の並びを変えると売れたり、お客様の本を見る目ってすごいです。つまらない本ばかりが売れる、という人もいるけれど、そういうこともないよなぁ、と思います。うちは取次を通してないのですが、版元さんでも一回5冊とか、こまめに対応してくださる方がいらっしゃいます。決して大きい利益とはいえないのに関係を保ってくださって」とも。
 しかし、楽しいことばかりではない。「ミニコミ作りだと、それこそオムツをたたむ合間に、普段の生活プラスアルファでできたけれど、店舗を持つと家賃、諸経費のことを考えないと……。自転車操業です」と苦笑いする。
 今後について尋ねると、「ギャラリーの充実はいつも考えています。本との関係性という点では、切り口のある絵本紹介をしていきたい。絵本の世界はロングセラーが根強いけれど、新しい作家もどんどん出てきています。同時代の作家が、同時代の人に向けて書くものはやはり重要だと思います。子どもの本にも世相が出ると思うんです。店を続けていくことを考えると、頭の中を整理しないといけない節目の時期かもしれません。その時の自分に合った形があると思うので」と話す語り口は冷静だが、確実に未来を見つめている。
 
「ブックギャラリー ポポタム」(12時~18時、日・月定休)
〒171-0021東京都豊島区西池袋2-15-17/Tel 03-5952-0114
http://popotame.m78.com/shop/
※ギャラリー=「村尾かずこ・漆喰でつくる楽しいお店の看板展2」(開催中)、「BLUE BOOK Group展」(絵本を描く7ヶ国31人によるイラスト展、6月18日~29日)。







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