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評者◆矢口進也
科学史は文献集めが大事――古書の世界に踏み込んだ奇談が面白い
科学史の横道
橋本萬平
日本古書通信社
No.2890 ・ 2008年10月18日




 いきなり書いてしまうが、これはたいへん面白い本である。何が面白いかというと、科学的な話題を扱うが、それを探究する過程まで書いていて、それが楽しいこと。またどうしても文献調査が必要なので長い年月をかけて資料収集をしている。当然古書の世界に踏み込むことになり、そこがまた面白い。
 著者は物理学者だが、科学史に関心が深くいろいろ研究をしている。しかし科学史は一般歴史学からは継子扱いで評価されず、科学のほうからも軽く見られてしまう。一つには新しい発見と異なって成果が評価されないこと。成果主義の世の中では基礎科学はとかくそういう扱いになる。著者はそのことをあまり大きな声ではなく指摘しているように思う。
 第一章「時の本・時の鐘」は、時計や古い時制についての話を集めている。時の鐘を撞いて時刻を知らせた最後の人、という老人に岡山で出会う。地元新聞に書いたエッセイが波紋を生じ、郷土史家の書いた本には最後の鐘を撞いた人は別人との記述があることを知らされる。正確なことは不明に終る。「孫引き怖るべし」は原典を参照できないときにする孫引きの問題。新村出の著書から引用しようと、念のため『徳川実記』を調べると日付が違っている。また『翁草』の引用を調べると大徳院→台徳院の引用違いを発見する。つまり著者は...







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