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評者◆柏木博
一八世紀視覚革命をダイナミックに描き出す
実体への旅――1760年‐1840年における美術、科学、自然と絵入り旅行記
バーバラ・M・スタフォード著 高山宏訳
No.2898 ・ 2008年12月20日




 わたしたちが目の前にする自然、あるいは対象物の実体とはいったいどのように捉えたらよいのか。こうした問題意識がせり上がってきた一八世紀から一九世紀に、どのような知の変動が起こったのか。ニュートンによる近代科学の誕生、博物学による帰納法的観察記録、あるいは新しい科学的眼差しを持った旅行家や探検家による風景の発見、そして観察そのものをアートへと位置づけることなどが、相互に共鳴しリンクしながら、ひとことでいえば「視覚革命」が引き起こされていく。そうした知の変動の姿を、自然の観相学を中心的主題として描き出す。
 いつもながらスタフォードの博覧博読を背景にした記述には、目眩を覚える。また、この間、スタフォードの著書を翻訳し続けてきた高山宏氏の知の強度と深度にもただただ敬服してしまう。かつて、ヴァルター・ベンヤミンが、翻訳とは、「ひとつの器のかけらを組み合わせる」作業であり、「愛をもって細部に至るまで、原作のもっている思考する仕方を己の言語のなかに形成」することなのだと述べているが、高山氏の翻訳は、ベンヤミンのその指摘を想起させる。
 本書が主題とする一八世紀、イギリスでは、ウイリアム・ギルピンがピクチャレスクな風景を求めて、人々をつれだててツアーをたびたび行っていたことはよく知られてい...







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