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評者◆山井悟
いかに江戸の武士たちは、「貧困」の時代を送っていたか――江戸時代の逞しさに、思いもかけない数々の驚き
絵が語る 知らなかった江戸のくらし――武士の巻
本田豊
No.2908 ・ 2009年03月07日




 わたしたちの世代(もちろん戦後民主主義教育といわれる就学世代だが)は、日本史教科で、江戸時代というものは身分制の厳しい封建制社会の時代であったと徹底的に教え込まれたように思う。いわゆる「士農工商」といわれた身分制度に対してであるが、あれはどうも明治近代政府によってなされた徳川幕藩体制批判としての歴史教育観の残滓だったのではないかと、今振り返ってみれば思わざるをえない。
 だが、徳川幕藩体制も二六〇年も続けば、階層社会が様々な破損や矛盾を生じてくるのは当たり前だ。武士階層より農民や町人・商人の方が常に貧困に喘いでいたのかといえば、必ずしもそうではなかったことは、いまとなってはいくらでも類推できることだし、冒険小説作家としての地位を確固たるものとしていた志水辰夫が近年、時代小説を発表している。そこで活躍するのは郷士といった身分のものたちなのだが、武士が武士出身階層からしか生れなかったのかといえば、必ずしもそうではなく、農民や町人から身分を引き立てられて郷士になる場合も多々あったようである。
 江戸は、今日の東京がそうであるように、強固な階層社会であっても、大都市であればこその生活手段の多様性が、下層民の雑多な熱いエネルギーとなって別様な世界を現出させうるものだ。むしろ、武士の方...







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