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評者◆植田隆
変わり行く東京へ鎮魂の思い――川、壕、橋が人々の心を豊かにしていた
秋聲と東京回顧――森川町界隈
徳田一穂
No.2909 ・ 2009年03月14日




 明治期の自然主義文学の作家・徳田秋聲の長男である著者が、父とともに暮らした本郷・森川町界隈を中心にして昭和五十年代の東京の風景を父とその周辺の文学者との通交の思い出に寄せながら綴ったのが、本書である。
 一九七八年から八一年五月まで、『日本古書通信』に三十二回にわたって連載されたもの(著者は八一年七月に亡くなっているため未完のかたちである)を、三十年近い時を経て、ようやく著書として纏められて刊行されたものだ。
 著者は、実際に東京の街を歩き、自らカメラを携えて気に掛かる場所を撮影している。明治三十六(一九〇三)年生まれの著者は、明治末年時の幼児期の記憶と青春期における大正十二(一九二三)年九月の関東大震災の経験、そして、戦争期を経て、急激な戦後復興、経済成長を通して、変わり行く東京への鎮魂とでもいうべき思いを文章の隅々に込めている。
 「相生橋は別として、汐入渡と勝鬨渡との間には、この二つを入れて、十七の渡があり、橋は六つ。/汐入渡、水神渡、白鬚橋、橋場渡、白鬚渡、寺島渡、矢屋渡、枕橋渡、山宿渡、吾妻橋、〓橋、御蔵渡、横網渡、両国橋、一目渡、安宅渡、新大橋、中州渡、永代橋、石川島渡、佃渡、月島渡、勝鬨渡である。/震災の時こんなにも沢山の渡が残っていたのか、とわたしは驚いたが...







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