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評者◆梶葉子
繊細に世界に向き合っていた頃の自分に出会う――ジェレミー少年は私たちの父親であるとも言える
ジェレミー少年と愛犬ハムレット
ヒュー・ウォルポール 著 長尾輝彦 訳
No.2909 ・ 2009年03月14日




 本書は、イギリスの作家、ヒュー・ウォルポールが一九一一年に発表した児童向け小説『ジェレミー』三部作の第二作目にあたる。作者はわが国では、代表作の『へリーズ年代記』や『銀の仮面』などで熱烈なファンを持つが、本書は本邦初訳である。
 訳者はあとがきで、「イギリスの片田舎の骨董屋で思いがけなく発見した骨董品のような趣がある」と記しているが、主人公のジェレミー少年へ寄せる作者の温かいまなざしが作品をいぶし銀のような味わいに富んだものにしている。読後、私もすっかりジェレミー少年のファンになってしまったのだった。
 ときは一八九四年。十歳のジェレミーが寄宿学校に入学して二年目の冬休みに、ポルチェスターに帰省したところから物語が始まる。舞台は実在の町ではないが、おそらく作者のヒュー・ウォルポールが寄宿学校生活を送ったイギリス北東部の町、ダーラムではないかと、訳者の長尾氏は推測している。訳者あとがきに添えられたダーラムの大聖堂と城、その下を滔々と流れるウィア川の写真に誘われるように、物語の世界に分け入っていった。
 少年と同世代の読者なら、たちまちジェレミーと一緒になってポルチェスターの市場をうろつき、大聖堂の夜中の肝試しにドキドキし、愛犬ハムレットのひょうきんぶりに笑い、寄宿学校でのクリ...







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