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評者◆橋本勝雄
謎めいた技巧的文章で綴られるイタリア民衆の寓話に込められた社会性――慎重なモンタージュの結果によって構築された重層性ある物語
イタリア広場
アントニオ・タブッキ著 村松真理子訳
No.2945 ・ 2009年12月12日




 ポルトガル詩人フェルナンド・ペソアの研究者であり、いまではヨーロッパを代表する知識人となった小説家アントニオ・タブッキは、数々の邦訳のおかげで日本でもよく知られたイタリア現代小説家の一人である。1991年に最初に『インド夜想曲』が紹介されてから18年、ついにデビュー作『イタリア広場』が日本語で読めるのは実にうれしいことだ。
 タブッキの愛読者であれば、第一作にその作家のすべてがあるという説にしたがって、その後の作品のテーマの萌芽を見つける楽しみがある。たとえば『インド夜想曲』の分身のアイデアや『レクイエム』の死者との幻想的対話の場面、『供述によるとペレイラは…』の反ファシズムのメッセージなど、おなじみの要素はこの作品にも読みとれる。そしてタブッキの作品に共通する二面性、すなわち虚構性を誇示するかのように欠落の多い謎めいた技巧的文章と、そこに込められた社会参加の姿勢と現代社会批判という性質をあらためて確認できるだろう。
 タブッキ作品が初めだとして、出版時にどう読まれたのか想像してもいい。『イタリア広場』は、60年代の前衛文学と80年代のベストセラー(たとえば1980年のウンベルト・エーコ『薔薇の名前』)のあいだ、いわばイタリア小説の沈滞期にあたる1975年に発表されて注目を...







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