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評者◆阿部賢一
「宗教家」を超える存在として人びとの共通言語を模索する「通訳」神父の物語――激動の世紀を生き抜いたユダヤ人神父の軌跡は、様々な人々の様々な物語となって反響しあってゆく
通訳ダニエル・シュタイン(上)(下)
リュドミラ・ウリツカヤ著 前田和泉訳
No.2945 ・ 2009年12月12日




 言葉を生業とする人といえば、「作家」そして「通訳」がすぐに思い浮かぶだろう。「作家」は言葉を紡いで作品をつくり、「通訳」は言葉と言葉を仲介する。ともにたえず言葉について思索することを余儀なくされているのは言うまでもない。それゆえ、この二つの眼差しが交わる時、示唆に富む物語が生み出されることがある(最近では、ディエゴ・マラーニの作品などを思い浮かべることができる)。異言語、異文化を跨ぐ人々の眼差しをめぐる考察はそれだけで十分に興味深いものであるが、さらに「宗教家」という視点が加わると、異文化間のずれといった類の問題提起に留まらない、視野の広い主題が提示される。それが、現代ロシアを代表する作家リュドミラ・ウリツカヤが著した上下二巻、五部からなる大著の『通訳ダニエル・シュタイン』だ。
 鍵となるのは、実在のユダヤ人カトリック神父ダニエル・シュタイン。ダニエルの生涯はそれ自体が、波乱万丈という表現では不十分なほどの「物語」である。
 南ポーランドに生まれたユダヤ人青年は第二次世界大戦のなか、生き延びるために自分をポーランド人と偽り、ベラルーシのエムスクにたどり着く。ドイツ語を話すことができたために、ダニエルはドイツ憲兵、ベラルーシ警察そして現地住民の間で「通訳」をすることになる。ユ...







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