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評者◆秋竜山
人間いろいろ、論語もいろいろ、の巻
No.2942 ・ 2009年11月21日




 「帰りなさい」とか、「帰るがいい」と、いわれると涙が出てくるものだ。「帰る」という言葉の中に、やさしさがある。親のような、やさしさだ。「帰ろかな、帰るのよそをかな……」なんて歌の文句もあったりする。守屋淳『「論語」に帰ろう』(平凡社、本体七〇〇円)の、「帰ろう」も、「帰ろかな、帰るのよそをかな……」ではなく、「帰るべき」であろう。「論語」といえば、「いいこと言っているなァ……」と、思ってしまうものだ。論語のいいことを、若い時、記憶力のいい時に暗記してしまえば、年をとってから、若いもンに、その一つも口にすれば、若いもンもソンケイするかもしれない。そんな年寄りになりたい!! ものだが、気づいた時は時すでに遅しであって、年寄りになってしまっていて暗記どころか、今読んで「なるほど、いいことを言っている」と感心すれど、次の瞬間忘れてしまっている。「論語とは、そーいうものかもしれない」。だから、論語はいつも本を手にして、気のむくままにパラリとページをめくり、そのページに書かれてある言葉を読む。それも一つの「帰る」ということになるのではないだろうか。
 〈孔子のような聖人に「何より伝統や過去を勉強する」「創作はしない」と最初に言われてしまうと、後世の人間としても「新しいものはやりにくいなあ」となりますよね…。このため最大の遺産の一つ「論語」にも、われこそはという研究者が注釈をつけまくり、その数は軽く千を超えているといわれています。もちろん今まで誰もとなえていない解釈でないと、目新しいものになりませんから、ある種、珍説奇説のオンパレードという面もあります。〉(本書より)
 孔子、孫子、孟子、荀子、大学、中庸、すべて中国の思想家である。その中に一人でも日本人でも入っていたら……と、思うのだが、メンバーの中に加わることができなかった。
〈ちなみに「子」というのは、男子に対する尊称で、簡単にいえば「先生」のこと。だから、孔子や孫子、孟子、荀子といった中国の思想家は、それぞれ孔先生、孫先生、孟先生、荀先生になるわけです。面白いことに、古代は尊称をつけた名前を、書名にすることが多かったんですね。ですから、そのまま書くと人名と書名が区別できなくなってしまうので、書名の方を『孟子』といったように二重括弧に入れることで、分けたりもしています。〉(本書より)
 「子日く」というのは、「子供」ではなく「先生」ということだ。当たり前といわれるだろうが、もし「子供」と解釈したら、なんてすごい子供だということになってしまうだろう。
 〈○知能のうえで最高の人間と最低の人間とのあいだには、どうしても越えることのできない壁がある〈唯だ上知と下愚は移らず〉『論語』陽貨篇〉〈○生まれながらの素質に、それほどの違いがあるわけではない。その後の習慣によって、大きな差がついていくのである〈性 相近し、習、相遠し〉『論語』陽貨篇〉〈○人間は、教育さえ受ければ、だれでも自分を向上させることができる〈教えありて類なし〉『論語』衛霊公篇〉(本書より)
 と、いうわけだが、結局は「人間いろいろ」ということになるのかしら、とにかく、いろんな人が多過ぎる。







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