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評者◆白石嘉治
来るべき大学の詩学のために――現実が恥辱にまみれていようとも、われわれはペシミズムを組織しなければならない
大学の歴史
クリストフ・シャルル/ジャック・ヴェルジェ著、岡山茂・谷口清彦訳
No.2951 ・ 2010年01月30日




 ブラック会社で働いている――大学教員はこう嘆息してよいはずである(『ブラック会社に勤めているんだが、もう俺は限界かもしれない』佐藤祐市監督)。
 じっさい『現代思想』(〇九年一一月号)の特集「大学の未来」は、疲弊する教員たちの怨嗟であふれている。だが、大学はブラック会社ではないし、ダンテの描く地獄の谷間でも蛍たちの群れはわずかな光を発していた。現実が恥辱にまみれていようとも、われわれはペシミズムを組織しなければならないのであり、本書を手にとって大学という概念の特異な組成をつかむことがそのはじまりを告げるはずである。
 本書で一八世紀までをあつかうヴェルジェは泰斗ル・ゴフの係累に属し、すでに『中世の大学』(大高順雄訳、みすず書房)の邦訳もある。もうひとりの著者シャルルも『〈知識人〉の誕生 一八八〇‐一九〇〇』(白鳥義彦訳、藤原書店)などで知られるフランスを代表する近現代史の研究者だが、特筆すべきはブルデューの遺志をつぐアレゼール(ARESER高等教育と研究の現在を考える会)の事務局長として、学術と実践が交差する活動をつづけてきたことだろう。その成果は『大学界改造要綱』(アレゼール日本編、藤原書店)からもうかがえるが、二〇〇九年にフランス全土の大学で長期におよんだストライキも、そ...







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