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評者◆秋竜山
てってい的にチーズ顔、の巻
No.3258 ・ 2016年06月11日




■橘玲『言ってはいけない――残酷すぎる真実』(新潮新書、本体七八〇円)の〈まえがき〉では、〈最初に断っておくが、これは不愉快な本だ。だから、気分よく一日を終わりたいひとは読むのをやめたほうがいい。だったらなぜこんな本を書いたのか。それは、世の中に必要だから。〉と、いきなりこれだ!! 昔からある手であるのではなかろうか。読むな!! といえば読む。見るな!! といえば見る。太古の昔からヒトは「のぞき」ないようにできている。なぜ女を追いかけるのか!! 逃げるからだ。逃げたりしなければ誰が追うものか。追ってもらいたいから逃げるふりをする。本書の中で、面黒い、いや面白がらせてくれたのは、〈写真から性格や未来がわかる〉。〈はたして、外見からひとの性格や未来を知ることができるのだろうか。〉写真を撮る時、いきなり無言でパチリとシャッターを切るヒトがいるだろうか。昔の映画カントクは、「ヨーイ!! スタート」と、大声を発した。そーしないと映画を撮っている気がしないという理由らしい。カメラの場合は、「ハイ!! チーズ」だろう。写真顔はチーズ顔が一番よいという伝説にのっかって、今や「チーズ」と言わないと写されている気分にならないらしい。そーいう私もそーである。自分のチーズ顔がけっしてよいとは思わなくても、一種のおまじないのようなものである。これは日本人だけなんだろうか。
 〈アメリカの心理学者マシュー・ハーテンステインは、卒業アルバム写真を何百枚も集めて笑顔の度合いを点数化し、後年の結婚生活を予測した研究で一躍有名になった。ハーテンステインによれば、男女ともに卒業写真であまり笑っていなかったひとの離婚率は、満面の笑みの卒業生の5倍にのぼるのだ。〉(本書より)
 やっぱり、チーズと口ずさむのは、おまじないでもあったのかと考えてしまう。そして、無表情の写真顔というのはブキミでもある。チーズを食べながら写したらもっといいだろう。
 〈興味深いのは、写真からでは判別できないものがあったことだ。それは「誠実さ」「穏やかさ」「政治的見解」だ。政治的見解が写真からわからないのは当然として、「誠実さ」や「穏やかさ」が当たらないのは、笑顔がほんものかどうか判別困難だからだ。さわやかな笑顔の学生が外向的なのは容易に想像がつくが、その笑顔は必ずしも(誠実さや穏やかさという)内面をそのまま表わしているわけではないのだ。〉(本書より)
 写真から「政治的見解」がわからないという。私もそーだと思う。選挙が近づくと日本中に立候補者の顔写真のポスターが並べてはられる。どの顔も、勝負顔である。正面を向くもの、ななめ未来の上空を見つめてポーズをとったもの。みんな同じ顔であり、一見気合いがはいっているようで、そーとは思えない。てってい的にチーズ顔で決めればいいのに。私の考えとしては、そんな写真顔はやめてしまい、自分の手を顔写真大にポスターにのせることだ。有権者はその手相を拝見し、「ウン、これはいい手相をしている」なんて、顔写真よりも当たりがあるかもしれない。どーだろうか。







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