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評者◆北村薫
甘くない蜜の味、舌なめずりの音に快哉!――本邦初訳を多数収録した中毒性のある短編集二冊
野性の蜜――キローガ短編集成
オラシオ・キローガ著、甕由己夫訳
エラリー・クイーンの災難
エドワード・D・ホック他著、飯城勇三編訳
No.3069 ・ 2012年07月07日




 月のほぼ同じ時期、特色ある短編集が相次いで刊行された。
 刊行日の順にいえば、まず一冊目が『野性の蜜――キローガ短編集成』オラシオ・キローガ著、甕由己夫訳(国書刊行会)である。帯の言葉が「ラテンアメリカ随一の短編の名手、魔術的レアリスムの先駆者と評される鬼才キローガの(中略)生と死、リアリティと幻想が渾然一体と化した、完璧精緻にして多彩な短編30篇を収録」。
 キローガを知らなくても、まずこれだけで手にとってしまうだろう。知っている人の多くは、アンソロジーに採られることの多い「羽根まくら」をかつて読み、戦慄したのだと思う。わたしもそうだった。あまりのことに、すぐコピーし、知り合いにファクスし、読ませてしまった。自分だけで抱えてはいられなかったのだ。
 ――こんな話を書くとは、一体全体、どういう人なのだろう!
 と思い、キローガ探索を始めた。その過程で、甕氏が雑誌に訳出した「野性の蜜」も読んだ。キローガの作品のほとんどは、ごく短い。それだけに内容に触れ読者の興をそぎたくはないが、お許しいただきたい。「野性の蜜」は結局のところ、肉食蟻の大群に食われる話である。その手の恐怖は、他の作家も書いている。普通なら、迫り来る黒い川のごとき蟻を前にし、足をくじくとか病気になる――といった設定をす...







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