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評者◆矢部史郎
借金なんて返すな!──人間に対するもっとも深い不信を「信用」と呼びならわす世界とは
〈借金人間〉製造工場――“負債”の政治経済学
マウリツィオ・ラッツァラート著、杉村昌昭訳
No.3078 ・ 2012年09月15日




 「溜飲を下げる」とはこういうことを言うのだろう。まるで自分が書いたかのような錯覚をおぼえる。驚いた。自分がこれまで漠然と感じていて、実践もして、しかしはっきりと言葉にできなかったことを、きわめて簡潔に著している。これは凄い。まいりました。
 『〈借金人間〉製造工場』というタイトルから多くの人が連想するのは、サラ金やクレジットの返済に追われる多重債務者の姿かもしれない。あるいは、大学の授業料のために数百万円の「奨学金」を借り、充分な職に就けないまま返済の督促に追われる若者たちの姿かもしれない。〈借金人間〉という言葉は、ここ日本でも充分にアクチュアリティを帯びた言葉として響いてくる。借金という問題は、マクロには国債債務とIMFの内政介入問題として、ミクロにはいつまでも金利をとられ返済を終えることのできない庶民の姿として、誰もが即座にイメージできる問題になっている。いま、借金は常態化している。それは、低開発の独裁国家や人格破綻者が陥る例外的な現象というものではなくなっている。〈借金人間〉は、まるで工場で生産されるように、大規模に機械的に生み出されている。
 債務を通じた管理の問題は、日本ではとくに若年層を中心に強く意識されてきた。全国の大学生が就職難に直面し抗議の声をあげるとき、...







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