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評者◆編集部
こどもの本棚
No.3203 ・ 2015年04月18日




■くしゃみでとびちった文字をさがして

▼ちびっこやゆよ――ゆかいなことば つたえあいましょうがっこう ▼宮下すずか 作/市居みか 絵

 一年一組、かばのユマくんは、じゅぎょうがおわってから、いつもがっこうのとしょかんにいきます。まだ春もとおい、つめたい北風がふく二月のおわりのこと、いつも元気なおともだちもお休みで、とてもさびしい教室をでて、ユマくんはとしょかんにいきました。
 一かいでしずかに本をさがしていたそんなとき、ユマくんはおおきなくしゃみをしてしまいました。
 「はっ、はっ、はくしょん!」
 すると、くしゃみが本のせびょうしにかかって、タイトルのもじをふきとばしてしまったではありませんか。二〇さつぐらいの本のタイトルが、よめなくなってしまいました。
 さあたいへん。いっしょにいた、ぞうのメアくん、ねずみのニタくん、きりんのツマくんも、ユマくんを手つだって、とびちったもじをひろいあつめます。ところが、またユマくんが「はっ、はくしょん!」。またもや、もじがとびちってしまったではありませんか。
 さて、いったいユマくんたちのもじさがしは、このさきどうなるのでしょう。つたえあうことばのお話は、おもわぬほうこうにひろがっていきます。
 (3・3刊、A5判六四頁・本体一〇〇〇円・くもん出版)


■わたしたちの身体は星のかけらでできている

▼星のこども――カール・セーガン博士と宇宙のふしぎ ▼ステファニー・ロス・シソン 作/山崎直子 訳
 この本は、宇宙物理学者で、詩人でSF作家でもあったカール・セーガン博士の伝記を絵本にしたものです。作者のステファニー・ロス・シソンは、ニューヨーク州ブルックリンのベンソンハーストにすんでいたカール少年が、星に興味をいだき、好奇心と空想力、そして科学への愛情にあふれ、やがて世界でもっとも愛され、尊敬される科学者になるまでの物語を伝えたいと、この絵本をつくりました。
 そして訳者は、山崎直子さん。スペースシャトルに乗って、日本人女性で二番目に宇宙を飛んだ宇宙飛行士です。カール・セーガン博士のことを知ったのは、一九八〇年に放送された「コスモス‥カール・セーガンの宇宙飛行」というテレビ番組でした。同名の本も読んで、壮大な宇宙の歴史に感動し、星にも命があって、わたしたちの身体も星のかけらでできているのだと、わくわくして感動したそうです。
 この本の原題は『スター・スタッフ(星のかけら)』です。わたしたちは宇宙の一部であるとともに、星とおなじ物質でつくられていて、夜空の星のきらめきは、わたしたちのそれでもあるのです。宇宙のふしぎにふれて、もっと宇宙のことを知りたくなる絵本です。
 (11・25刊、23〓×29〓三四頁・本体一五〇〇円・小峰書店)


■めがねをかけるとよくみえるかな?

▼めがねがなくても ちゃんとみえてるもん! ▼エリック・バークレー 作/木坂涼 訳
 がっこうのせんせいがたは、せいとのペイジちゃんが、こくばんやがくふがちゃんとみえていないのではないかと、しんぱいです。おとうさんも、おかあさんも、とてもしんぱいしていました。でも、「ちゃんと みえてる?」ときくと、ペイジちゃんはきまって「ちゃんと みえてるもん!」というのです。
 おかあさんは、がっこうをやすませて、ペイジちゃんをめいしゃさんへつれていきました。ちょっぴりこわがるペイジちゃん。でも、めいしゃのステイガーせんせいは、とてもやさしく、めをけんさしてくれます。そして、「ペイジには めがねが いるね」といいました。
 おかあさんはペイジちゃんをめがねやにつれていきました。さいしょは、「ちゃんと みえてるもん!」とぷんぷんしていたペイジちゃん。でも、めがねやにいってみて、びっくり。ものすごくたくさんのめがねがあって、ペイジちゃんはいろいろためしてみました。さて、めがねデビューをはたしたペイジちゃんは、それからどうなるのかな。
 (3・25刊、22cm×24cm三二頁・本体一四〇〇円・ブロンズ新社)


■廃校の教室で、じゅぎょうはつづく

▼ほこほこのがっこう ▼ザ・キャビンカンパニー 作・絵
 廃校になって、もうだれもいなくなってから一〇〇年たった小学校のお話です。だれもいないはずなのに、キーン、コーン、カーン、コーン。あれ? チャイムがなっているではないですか。もしかして、ゆうれい? いえいえ、教室にいるのは、ほこりのおばけ「ほこほこ」たちです。人間がだれもいなくなって、何年もつもったほこりがつむじ風でまいあがって、「ほこほこ」になったのです。
 さて、きょうのじゅぎょうは「ほこほこぷるぷる フルーツゼリーをつくろう!」。ほこほこふーせんせいが、せいとにつくりかたをおしえます。さて、いったい、どんなフルーツゼリーができるのやら。
 この絵本の作者ザ・キャビンカンパニーは、阿部健太朗と吉岡紗希という二人の画家/絵本作家のユニットです。廃校となった小学校をアトリエに改装して、制作をつづけています。この絵本も、そんな二人からうまれたのです。廃校となった学校で、ほこほこはいったいどんなドラマをくりひろげるでしょう。読んでのおたのしみです。
 (3・9刊、A4判四〇頁・本体一五〇〇円・小学館)


■九〇〇年前の童の大冒険

▼童のおつかい ▼ほりかわりまこ 作

 芥川龍之介の『羅生門』や『鼻』をはじめ多くの作品の素材となり、作家を触発する説話世界をたたえつづける『今昔物語集』。「今は昔」ではじまる各説話は、インド、中国、日本にまたがり、貴族や高僧から庶民、罪人や動物、怪奇事件や世のふしぎ、おもしろさなど、じつに多彩な世界を物語っています。この絵本は、そのなかから「童のおつかい」をえらんで絵本にしたものです。
 今は昔、吉野の山のふもとにすんでいた、ひとりの童が、こっそり、うりを食べているところを見つかったところから始まります。ひとにあげるものだから、ぜったいに食べてはいけないといわれていたのに、童はがまんできずに食べてしまったのです。おとうさんは、もうかんかんにおこりました。「いうことがきけないやつは、でていけ」。こうして童は、お寺の下ばたらきにだされてしまいました。
 さて、童はお寺でどのような経験をしていくのでしょう。九〇〇年前の童の大冒険が、ほりかわりまこさんのみごとな絵とともに、くりひろげられます。春の夜ながに、ゆたかな古典の世界にひたることのできる一冊です。
 (三月刊、26cm×22cm三二頁・本体一四〇〇円・偕成社)


■メリーと笑顔が未来への希望に

▼はーい にっこり! ▼メリープロジェクト ぶん・え

 メリープロジェクトとは、「あなたにとってメリー(楽しいこと、幸せなとき、将来の夢など)とは、何ですか?」という質問を世界中の人びとに投げかけ、その笑顔とメッセージを集めるプロジェクトです。すでに世界三〇国、四万人以上の笑顔とメッセージを取材したそうです。「はーい にっこり!」こそが、世界中の人とコミュニケーションできる最高のことばなのです。
 この絵本の主人公は、にこにこがおのメリーちゃん。おでかけでそとをあるくと、泣いているウサギさんがいます。メリーちゃんは「はーい にっこり!」、ウサギさんに、にこにこをいっぱいあげました。するとどうでしょう。いままで泣いていたウサギさんは、わらっておともだちになりました。こうしてメリーちゃんは「はーい にっこり!」で、出会った生きものたちと、つぎつぎ友だちになっていき、笑顔をふやしていくのでした。
 国境を越え、時代を越えて、地球のすべての笑顔が輝きつづける。そんな「はーい にっこり!」が、未来への希望をもたらしてくれることを、この絵本はおしえてくれます。
 (5・1刊、18〓×19〓二四頁・本体一一〇〇円・女子パウロ会)







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