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評者◆添田馨
象徴と民心⑥――野党の本当の踏ん張りどころ
No.3295 ・ 2017年03月18日




■国会中継を見ていると、現職閣僚が国会を軽視しているとしか思えないような場面に多々出合う。特に安倍政権に移行してからというもの、野党側の質問に対して、担当大臣が満足に答弁できない場面がきわめて多い。野党議員からの突っ込みで答えに窮すると、担当官庁の役人らしき人間が背後から資料の紙をもって援護にやってくる。そこで何かアドバイスをもらって、また答弁に立つというあのお馴染みの光景だ。
 今国会では、特に法務大臣と防衛大臣の答弁が度を過ぎてひどい。自分で考え、自分で判断し、自分で決定した事項でないことを訊かれるため、こうした間の抜けた対応になってしまうわけだが、仮にも一国の閣僚がこのような体たらくになっている事実は、いったい何ごとを象徴しているのか。要するにこの国では、閣僚でさえも国の重要な判断への裁量権を、実質的には持っていないということの現れだろう。目に見えぬ舞台裏で、誰かべつの人間がすべてを決めているということか。
 だが、天皇陛下の「生前譲位」をめぐる一連の議論については、きわめて例外的なことに、議論の輪郭が私たち国民にもすみずみまで可視的だという印象がある。これはやはり昨年の、陛下ご自身によるビデオメッセージの影響によるところが大きいのではないだろうか。あのメッセージがあったからこそ、この問題に対する関心も広汎な層に広がり、またそれだけ理解も深められたのだろう。
 自民党はどうやら一代限りの特例法で党内をまとめに入ったようだ。これに対して野党側には、皇室典範の見直しも視野に入れた恒久制度での対応に重きを置く論調が目立つ。及ばずながらこの私も、この国家的公共のあり方に深く関わってくる重要問題に、ゆめゆめおざなりな対応で臨むことがあってはならないと主張してきたつもりである。いくら政権与党とはいえ、この問題だけは数にものを言わせた強行採決などできまい。野党は本当にここが踏ん張りどころだと肝に銘じてほしい。







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