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評者◆伊達政保
労さんなら現在の沖縄問題にどう行動していただろうか――山梨県立文学館で竹中英太郎・没後30年「竹中英太郎と竹中労父子を偲ぶトークのつどい」
No.3357 ・ 2018年06月30日




■この4月、山梨県立文学館で竹中英太郎・没後30年「竹中英太郎と竹中労父子を偲ぶトークのつどい」が、同じく甲府市の「湯村の杜 竹中英太郎記念館」(館長・竹中紫、英太郎の娘)の主催で開かれた。
 竹中英太郎、昭和初期から雑誌「新青年」などにおいて、江戸川乱歩、横溝正史、夢野久作などの小説の挿絵で一世を風靡したが、昭和10年以降絵筆を折り幻の挿絵画家と謳われた。竹中労、元祖ルポライター、芸能・音楽、映画、マスコミ、政治運動に至るまでその活勤範囲は幅広い。晩年の父英太郎に懇請してレコード・ジャケットや本の装幀、ポスターなど、労自身に関わるものだけ再び絵筆をとってもらい、多くの色彩画が残された。
 さて、第1部は大工哲弘(沖縄八重山民謡唄者、琉球民謡音楽協会名誉会長)の島唄とトーク。70年代、TVの全日本歌謡選手権出場から琉球フェスティバルにいたる労さん(やっぱり、こう呼ばなくちゃね)とのエピソードを交えながら、「白雲節」、労さんが好きだった「与那国しょんかねー」、歌詞を労さんとの思い出に作り変えて「トバラーマ」を唄った。オイラ、大工さんと始めて出会ったのも、73年に渋谷ジァン・ジァンで労さんが行った嘉手苅林昌コンサートで、林昌さんのカバン持ちとして大工さんが来た時だった。
 第2部は竹中親子を偲ぶ卜ークのつどい、司会の金子望(湯村の杜 竹中英太郎記念館主宰)、竹中紫、鈴木邦男(新右翼・一水会元顧問)、樹木希林(女優・労さんの古い友人)、水道橋博士(芸人・文筆家・当時話題のオフィス北野所属、竹中労の大ファン)、喜国雅彦(漫画家・随筆家)、末永昭二(大衆小説研究家・新青年研究会所属)という錚々たるゲストだ。
 水道橋博士は「いまリアル風雲たけし城をやってます」と笑いを誘い、若い頃から竹中労の本を読み強きに抗することを学び「そのことを恥じることはない」と語った。そして話題は、竹中英太郎の新青年時代の挿絵の解説から分析、自身の作画ヘの影響、労さんと英太郎の親子関係のエピソード、労さんとの関わりと芸能界、労さんの左右を弁別せずというところから新たな思考の展開が始まったことなど、司会を脇においてゲス卜同士の対談となるなど、進行なしにランダムに飛び回る。さすが竹中親子の残した影響力の強さに今更ながら驚かされた。
 しかし、労さんの音楽、沖縄、そしてアラブでの行動を少しは共にしたオイラにとって、労さんの現場主義ともいうベき行動力とそのテーマが、現在において忘れ去られているような気がしてしまうのだ。労さんなら現在の沖縄問題にどう行動していただろうか。







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