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評者◆添田馨
暗黒の時代から漆黒の世へ⑨――構造としての“アベシンゾー”①
No.3361 ・ 2018年07月28日




■人はもともと悪党や偽善者や嘘つきに生まれつくのではない。生きていく過程で遭遇する諸関係のさまざまな網の目に強いられて、それら憎むべき者になっていくのである。一国の総理大臣とその夫人を震源として、現在この国を襲っている政治的災厄は、明確にひとつの構造のもとに生起している。この構造を、ここでは“アベシンゾー”と呼ぶ。
 どんなに優秀で、勤勉で、誠実であったとしても、ひとたびこの構造に触れた者は、これまで無縁だった悪党や偽善者や嘘つきという蟻地獄へいとも簡単に堕していく。この構造が恐ろしいのは感染力が極めて強いことだ。政治家であれ、官僚であれ、ジャーナリストであれ、スポーツマン・芸能人であれ、安倍晋三やその妻と手を組んだ者は、構造としての“アベシンゾー”に必ず感染し、とり込まれる。
 民主主義とはひとつの政治システムだ。それは膨大な数の法的・制度的なサブシステムの集合から成り、個々のサブシステムがそれぞれ十全に機能することによって、民主主義という全体システムも正常に維持されるはずだった。だが、現在“アベシンゾー”という構造は、これらシステムの内部にもウィルスのように侵入し、その感染範囲を広げてしまった。だから正常に見えるシステムも、じつは背後のこうした構造のために、不当な利益誘導の装置へと丸ごと置き換えられてしまうのである。黒をあくまで白だと言い張る、政治家や官僚たちの聞くにたえない言動の数々は、彼らがこの構造に強いられてモノを言っている証左なのだ。
 はっきりさせておかなくてはならない。いま私たちが総力をあげて対峙すべき敵とは、構造としての“アベシンゾー”である。忘れてならぬのは、安倍晋三本人が仮に総理を辞任することがあったとしても、この構造じたいは残り続けることだ。従って、この闘いに明確なゴールはなく、原子力発電所の廃炉同様に、膨大な解体作業が今後もずっと必然化されるのである。
(つづく)







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