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評者◆伊達政保
これだけ多士済々の天皇制特集などなかなかお目にかかれるもんじゃない――雑誌「Fukujin――漬物から憑物まで」№19
No.3361 ・ 2018年07月28日




■雑誌「Fukujin――漬物から憑物まで」№19(特集1:天皇制、特集2:JKS47)上杉清文/福神研究所編が明月堂書店から発刊された。前号の特集追悼・松山俊太郎から二年ぶりだ。この雑誌は上杉清文ら日蓮宗有志僧侶により結成された福神研究所により編集・発行されているが、執筆者は宗派宗教者を問わず、これまで南伸坊、末井昭、奥成達、平岡正明、各氏など多士多才である。まさに宗教系雑誌の枠を大幅に踏み外した卜ンデモない雑誌なのだ。
 今回の「特集1 天皇制」は、福神研究所の月例講座として二年前から始まった菅孝行氏の講義「天皇制問題と日本精神」を受けて、菅氏の基調とも言うベき「反天皇制試論‐‐現状・批判・解体の展望」と講座レジュメ概要(向井徹編)、塩野谷恭輔「宗教としての天皇制」、佐野絃「戦後国体と沖縄」、礫川全次「南北朝正閏問題と水戸学」、三上治「天皇機関説事件と国体明徴運動から」、小野文琳「象徴天皇制の人問性」など各方面からの論考が並んでいる。また講座受講者から橋本克彦「我が私的「天皇」体験」、オイラの「幕末の天皇制度から近代天皇制へ」、山崎春美「器官なき国体」を掲載。これだけ多士済済、多種な方向性からの天皇制特集などなかなかお目にかかれるもんじゃない。それでも展開された各論考相互に緩やかな連関を感じてしまうのは、それこそ天皇制の持つ呪縛か。編集後記で上杉氏は「「天皇制」を考えるにあたっては、当人が天皇主義者であろうとなかろうと、〈日本国民は戦後72年間、天皇制と立憲デモクラシーをどう「すり合わせるか」について真剣に、深い議論をしたことが一度も有りませんでした〉(内田樹)という指摘に素直に耳を傾けるところからはじめるべきでしょう」と書いている。明仁天皇の生前退位を来年に控え、安倍政権の改憲策動も踏まえて、天皇制に対する議論は必須である。しかし、生前退位については論議されてきたが、浩宮徳仁の天皇即位に対してほとんど議論がないのは何故。
 特集2は「JKS47」(呪殺祈祷僧団四十七士改め日本祈祷団四十七士)。以前この欄にも書いたが、毎月、経済産業省前で行われている「戦争法廃棄! 安倍政権退陣! 原発再稼働阻止! 悪しき者らに死者の裁きを!」 祈祷会の、これまでの経過および活動報告と資料集である。雑誌内雑誌として元白夜書房名編集者の末井昭編集によるものだ。参加者の福島泰樹、足立正生、秋山道男、渚ようこ、オイラなどが寄稿。資料中にはJKS47結成の引き金となった上杉清文「一九六八年の思想と立正安国」(「シリーズ日蓮」第五巻『現代世界と日蓮』所収、春秋社)が納められ、必読である。







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