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評者◆添田馨
暗黒の時代から漆黒の世へ⑩――構造としての〝アベシンゾー〟②
No.3364 ・ 2018年08月18日




■死刑の執行は政権による“殺人”である。2018年7月6日、オウム真理教の元教祖・麻原彰晃と元信者ら七人の死刑が執行された。その衝撃も覚めやらぬ7月26日、今度はさらに残り六人の元信者の死刑が執行された。
 全員が確定死刑囚とはいえ、たった二十日間ほどの内に合計十三人がその命を絶たれるという、これは前代未聞の大量殺戮である。私は絶対に許さない。
 死刑執行の命令を下すのは時の法務大臣である。政権内部の人間である。すなわち、今回の殺人は、安倍政権が直接に、それも明確な意志をもって実行した殺人行為いがいの何物でもない。
 それにしても何故いま、このタイミングの執行なのか? 政権はその判断に至った理由を一切明かさない。相変わらずの隠蔽だ。だが、巷で囁かれていることは諸々ある。来年にずれ込むと改元の祝賀ムードに水を差すからとか、モリカケ隠しのためだとか、サッカーW杯が終わったからだとか、9月には総裁選があるからだとか、2回目の執行を相模原障害者施設殺傷事件が起きた日付に合わせたからだとか……。
 いずれそこに何らかの政治的な判断が働いたのは間違いなかろう。ふざけるな、とはこのことだ。どんな判断があったにしろ、彼ら十三人は政権の都合で殺されたということじゃないか!そんなことがまかり通っていいのか! この政権は、人の命を何だと思っているのだ。
 わが国の刑法には「死刑」が制度化されている。刑事訴訟法には、その具体的な手続きが示してある。そして、麻原彰晃とその教団がかつて引き起こした数々の犯罪行為は、どれも憎むべきものだった。しかし、死刑が合法化されている国で、数々の憎むべき犯罪があり、裁判を通して確定死刑囚となった者たちが一定数存在する事実と、彼らを物理的に殺害するよう指令を出すこととの間には千里の径庭がある。オウム関連死刑囚への冷酷きわまる死刑の執行には、“アベシンゾー”という構造の暴虐無残な本性が余すところなく露呈している。
(つづく)







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