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評者◆ベイベー関根
もんでんあきこ先生を讃える。
エロスの種子 第2巻
もんでんあきこ
No.3370 ・ 2018年10月13日




■世の中には「知られざる巨匠」なる方が何人もいましてですな、マンガ界にもその例に漏れず何人かいらっしゃる。もちろん花輪和一とか菅野修みたいな人のことじゃない。伊藤重夫とか、あるいは福谷たかしみたいな人のことでもない。
 そう、今回取り上げるもんでんあきこ先生みたいな方のことをいうんだよ! もんでん先生はねー、昔から素晴らしいんですよ、誰も表立ってホメないけど!絵もめっちゃうまい、話作りも巧み、そしてちゃんと心に残る作品を作り続けているのだ! 誰も表立ってホメないけど!(しつこい)
 最初は当然少女マンガから出発、1983年に『週刊マーガレット』でデビュー! そこから、レディコミ、BL、そして青年誌、とさまざまなフィールドへ活躍の場を広げておられる。
 なんだけど、あまりにも高い水準で安定しすぎているので、読む人が、こんなもんか、と思っちゃうんだよね、たぶん。
 違うんだよ! いまあんたが読んでんのは、大変なもんなんだよ!
 というわけで、その大変さがけっこう極まっているのではと思われるのが、『エロスの種子』なんだな。タイトルどおり、エロスをテーマに、ちょっと昔の日本を舞台にした珠玉の名篇が並んでおるぞよ!
「産む女」では、古い造り酒屋に嫁いできた妙子が子供ができないことを理由に継母にいじめられているのを見過ごしてきた夫が、実は原因は自分の方にあり、子供ができれば問題ないとばかりに自分の友人に妙子を抱かせようとしていることを打ち明けるのを聞くにおよび、ある計略を思いつく……。
 ミステリ仕立てでもあり、女性差別へのプロテストでもあり、純愛物語でもあり、と読み応えたっぷりの名短篇なんだが、この連作、どれをとってもこれくらいの読み応えがあるんだからまいるじゃないの!
 ディテールも詰めてあるし(キャラクターのエロみが若干現代ふうだけどこれくらいは許容しないと流通しないからなあ)、何よりいいなと思うのは、どの作品も、人が生きていく上でどうしても求めざるをえない関係の深みに手が届いているところだな!
 女性作家が性を描くというのは、今や珍しくないことだし、また今後も増えていくと思うけど(ところで、これはけっこう前からの話だけど、コンビニの女性用レディコミのエロ描写って、なんであんなにエグくてもOKなの!?)、もちろんオトナが物語を読むにあたって、それを欠いていたり隠してある方がむしろどうかしてるわけでさ、問題はそれをどのようにして人物の造形なり物語のもつ説得力なり読後の感動につなげていくかだろ。もともとロマンポルノとかエロVシネとかも、同じ志をもってたわけだから、そういうメディアが生きていたころなら、めっちゃいい原作群になっていたはずだが……。え、ピンク映画!?







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