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評者◆ベイベー関根
MeToo時代の中心でバカエロを叫ぶ。
戦国えっち~男と女の合戦絵巻
荒木俊明
No.3375 ・ 2018年11月17日




■こないだちょっとまとめてマンガを買ったら、それがみんな『コミックビーム』がらみの本だったんで、ゲーッと思ったぜ。なんだよ、なんか「良心的なマンガファン」みたいじゃん!(ちなみに中野シズカ『にわのににん』、森泉岳士『セリー』、その他。ちなみに、オカヤイヅミはいまだにどこが面白いのかよくわかんねー)
 そんなわけで、今回はMeToo花盛りの風潮の中、バカエロマンガを取り上げることにした、失敬、『ビーム』編集部の諸君!
 そのバカでエロい作品とは、荒木俊明『戦国えっち~男と女の合戦絵巻~』だ! せ、戦国えっち!? 帯にはこうある、「現代でもためになる!! 戦国時代のHOW TO SEX 〈松永久秀が残した性指南!!〉」。
 ……ま、確かにだいたいそういう内容だな。要は、織田信長ですら一目置いた猛将、松永弾正久秀が遺した奇書『黄素妙論』という性指南書の内容をご紹介……という体裁をとった単なるバカエロマンガなのだ!
 討ち死にした家臣・竹内秀勝の墓参に、イケメン祐筆・楠木成虎をお伴にやってきた弾正、「未亡人は良いぞお!!」とほくそ笑む。どうも狙いは未亡人の桃与の方らしい! だが、秀勝の墓の前では、その桃与と弾正の嫡男・松永久通が今まさにぬっぱぬっぱとまぐわっている最中ではないか! 「ああ……あの世のあなた御免なさい、でも…/あなたより久通様の方が気持ちイイの~」。
「こらあ~~ッ!!」とホラーマンガばりに一喝する弾正。「色(エロ)の道指南申し聞かす!!」と前置きしてから、「神社仏閣にて性交(まぐわ)うこと罷り成らぬ!!」とピシャリ(え!?)。ばちかぶりにも程があるというのだが、それを書き取る成虎、弾正が奈良の大仏を焼き討ちしたことを想起せずにはいられない……。
 バ……バカバカしい! でも好き!
 というような話が、めっちゃ時代劇画タッチの弾正と、現代エロ漫画のタッチにして、貧乳から爆乳までさまざまのヴァリエーションをもつ女性(にょしょう)との間で、これでもかとばかりに繰り広げられるのだ!
 囚われの身になりながら、来るべき甘美な拷問の妄想に悶えるくノ一の話とかも面白いんだけど、その次の話も超くだらない!
 第一の側室、紫(ゆかり)に茶の道指南を試みる弾正。自らの茶筅(わかるね)を使って「縦方向に振るべし…振るべし!!」「どうじゃ!? そなたの愛液(うすちゃ)の具合は!?」てな具合に薄茶の極意を伝授。しかし、「薄」茶の指南にこだわりすぎ、欲求不満の紫はおかわりを求めて大爆発!!
 ……く、くだらない! でも大好き!!
 いいなーと思うのは、作者の荒木さん、ホントに時代ものの資料をしっかり集めていて、それを咀嚼した上で、今っぽいエロやギャグとの間でうまくバランスをとりつつ描いているなーというところ。なかなかできんことぜよ!!
 幽明の間に遊ぶ山田参助『ニッポン夜枕ばなし』とぜひ並べて読まれたし!







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