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評者◆伊達政保
知られていないマイナンバー制度の本質
共通番号の危険な使われ方
白石孝・石村耕治・水永誠二編著
No.3208 ・ 2015年05月30日




■TVでは上戸彩のCMが頻繁に流され、「今年の10月から、あなたにもマイナンバーが通知されます」との政府広報の折込みには、マイナンバーによる情報連携で、国民の利便性の向上、行政の効率化、公平・公正な社会の実現など、様々なメリットが謳い上げられている。しかし、このマイナンバー(共通番号)制度、オイラから言わせりゃ、過去にアレだけ批判され反対されてきた国民総背番号制と全く変わらないのだが、何故か反対の声が少ないような気が。ただ住民登録した日本人ばかりでなく外国人登録をした外国人も、同じ12桁の個人番号の下に管理されることになっている。また、来年1月から任意の申請で発行されるIC仕様写真付の個人番号カードには、住民票、印鑑登録、保険証など多くの個人データが搭載可能で、将来、身分登録証として携帯が必須のものとならざるを得ない。
 法制定当初、税と社会保障の公平性を保つためとされていたが、現在では施行以前にもかかわらず、預貯金等へその利用拡大が図られている。国ばかりか、各自治体までがこの共通番号制度の独自利用を検討し始めている。国会議員の時代に国民総背番号制に反対してきた保坂世田谷区長などは、共通番号や個人番号カードを積極的に推進利用しようとし、予防接種や健康診断記録、資産把握に使おうとする始末だ。この共通番号は国や行政機関ばかりでなく、民間にも蓄積管理されることになっている。
 来年1月からは、正社員からアルバイトの給与、報酬、芸能人・ミュージシャンのギャラ、原稿料など、源泉徴収が発生するものについて、本人が支払い側にマイナンバーを提示し、支払い側も写真付証明書(免許証、パスポートなど)による本人確認を行わなければならない。扶養の申告のためには家族の個人番号も提示しなければならない。支払い側はこれらの個人番号を安全に管理保管しなければならない義務が生じ、当然のことながら番号の漏洩には厳しい罰則規定がある。しかしながら大企業ばかりか中小企業、二~三人の従業員やアルバイトを抱える商店にもこれが適用され、よって個人番号の漏洩や民間による目的外使用の危険性は大きいと言わざるを得ない。しかし現在、これらのことが殆ど知られていないという現状なのだ。
 これらを知るための格好の本が出版された。白石孝・石村耕治・水永誠二編著『共通番号の危険な使われ方‐‐マイナンバー制度の隠された本質を暴く』(現代人文社)である。国民総背番号制、住民基本台帳ネットワーク、個人情報保護法に一貫して闘ってきた著者達が、法の施行前にその問題点と運動の方向性を示した本である。ぜひ一読を。







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