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評者◆小嵐九八郎
しかし、彼らも生きとし生ける人間
オウム死刑囚からあなたへ――年報・死刑廃止2018
年報・死刑廃止編集委員会編
No.3382 ・ 2019年01月12日




■かつて新左翼運動で、党派闘争、普通は内ゲバと呼ばれることに関わった者が、きちんとした反省もなく死刑制について書くのは気が引ける、とても。
 しかし。その上で、最もの力を持つ国家が、いかに生の過程で阿漕で悪辣なことを為したとしても狭い二畳半の独房で今は弱い一人を絞殺するという現実は人類の一員として「おかしい」「あまりに残酷」「反省とか“更生”の道もあろうのに」と思わざるを得ない。
 『東京新聞』の11月10日の通称『こちトク』、『こちら特報部』の「裁判員裁判 来年で10年」のテーマの記事では「『プロの法律家』だけで争点や証拠を絞り込みすぎて、裁判員は『お飾り』になっている」との学者の意見があり、裁判員裁判では求刑通り死刑判決の割合が多くなっている原因として「審理日程の短縮のため残虐性や被害者の数を重視」して「『情状』の情報が不足」の旨が記されている。つまり「刑の重さをめぐって誤判が起きている恐れがある」との考えが紹介されている。どうやら裁判員裁判は、庶民、市民も参加しての判決だから公平という幻想を振り撒いて、実は、国家の権力の一部を担わせるかなり狡いやり方と映る。そう、狡猾。
 2018年の7月、二回にわたり計十三人のオウム死刑囚が絞首台へ送られた。二十年ほど前は、死刑執行前は喉仏の下3センチにごつい縄を回され、看守三人の誰が“決めた”か判明しないように三人が一斉にボタンを押し、肉体が宙吊りにされ、平均十五分で心臓が止まると聞いた。オウムは、とんでもない教団で、無縁な人人も殺した。嫌悪感以上のものをなお思う。しかし、彼らも生きとし生ける人間。
 うへーい、枚数が足りない。『年報・死刑廃止2018』が10月末出た。主なテーマは『オウム死刑囚からあなたへ』だ。インパクト出版会から、本体2300円。オウムに実際に襲われたジャーナリストの江川紹子氏、死刑制廃絶に懸命な弁護士の安田好弘氏の熱く厳しい対話がある。なんか他人ごとのような反省の元幹部の文がある。切実な文も。オウム以外の死刑囚のことも、その必死さに泣いて感激する絵画すらある。







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