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評者◆内堀弘
七十年代の赤いドリル――「東京理科大闘争資料一括」が買える古本屋
No.3181 ・ 2014年11月08日




■某月某日。『井田真木子著作撰集』(里山社)が出ているのを知った。『プロレス少女伝説』を読んだのは、もう二十年ほど昔で、同業の先輩から「これは面白い」と教えられた。著者は私とほぼ同世代だった。
 私が読んだのは文庫版だったので、それから何年かして(二〇〇一年に)彼女は亡くなっている。それを、私はこの著作集で知った。そんな話も聞いたのかもしれないが、何をそんなに慌ただしくしてきたのか。
 今日届いた「本の散歩展」(古書展)の目録に、古書赤いドリルが「東京理科大学闘争資料一括 六十五点 二万円」を載せていた。六十八~七十年に、理大でまかれたビラや討論資料の一括だ。日大、東大闘争はその記録が本にもなっているが、記録されない闘いはいくつもあったのだろう。切実な日々も風花のように消え、その時間のカケラが古本屋に現れる。
 古書赤いドリルは、七十年前後の闘争資料を扱う。下北沢にあった店は閉じ今は無店舗だ。文字通り「姿なきものの影」となったが、ここが懸命であることで、あの時代の「時間のカケラ」が姿をみせる。
 屋号の「ドリル」を、私は「問題集」のことかと思っていた。赤い謎解きというネーミングに唸ったが、これは削岩機のことらしい。そのまんまだが、時を砕く、その直截さも良しとすべきか。
 先週の入札会で、七十年の頃のリトルマガジンの一束を落札した。その中に、「高崎経大事件公判闘争録」(六十七年)があった。学生の頃、この闘いを記録した映画「圧殺の森」(六十七年)を見て、六~七年前のモノクロの映像をずいぶん昔のことに感じたものだ。それから四十年も経っている。本当に何を慌ただしくしてきたのか。
 同じ束の中に「当世学生運動戯歌集」(六九年・都立大学全共闘野次馬軍団)を見つけた。表紙は赤瀬川原平で、後に編集者となる松田哲夫の名前がある。別に非合法出版物ではないが、奥付に第二刷とあるのがなんだか可笑しかった。







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