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評者◆秋竜山
表紙がない本を読みたい、の巻
No.3398 ・ 2019年05月04日




■斎藤茂太『モタさんの「いい人生」をつくるコツ』(こう書房、本体一三〇〇円)では、
 〈私の知人に一年に五〇〇冊以上も読破する読書家がいるが、そんなにたくさんの本を読む秘訣を聞いたところ、「つまらないと思った本は途中でもさっさとやめること」といっていた。「面白くない本にとらわれすぎると、本を読むこと自体が嫌になってしまう。そうならないように、常に面白い本を探して読むようにしている」という。これも一理あり、だ。〉(本書より)
 これは道理だ。選べばいい。面白い本だけを読んでいれば、あきることはないだろう。自分に、あった、本だけページをひらけばいいことになる。自分にだけつまらない本であって、本としては、りっぱな本だろう。つまらないと思っていた本も急に面白い本に変わることもあるはずだ。本を手にとって、面白いか面白くないか、まずページを、パラパラとパラパラ・マンガのようにめくってみる。それで大体面白い本であるか面白くないつまらない本であることが判明する。面白い本は面白い活字が並べられていて、それによって内容が面白くなるのである。つまらない本の活字は、やはり並べ方がつまらないようだ。だから、書店などで、パラパラめくりをさせていただく。活字を読んでみるというよりか、眺めてみるといったほうがいいだろう。本で一番大事なのは、表紙であるだろうと一応思っている。いわゆる本のタイトルである。タイトルによって、人間でいうところの顔によって決まるということか。
 そこで思い出したのは、かなり昔のことになるが、表紙などなく、タイトルもわからない本がいっぱいあった。もちろん、私の田舎での話だが、ひどいのになると、七、八ページも最初の部分がない。そして、終わりのページの部分もない。とれてしまってなくなっているのである。なぜ、そのような本になってしまったのかというと。当時は本の数も少ないせいであったから、仲間うちでまわし読みしたのである。推理小説など、肝心の最後の一ページがないと、犯人が誰なのかわからない。わからないままに読み終えたことになってしまう。それでも、本にうえていたから文句のいいようがない。誰にむかって文句をいうんだということになる。その本が誰の本なのかもわからない。
 しかし、よく考えてみると、みんなに面白がって読まれている本であるから、そんな本になってしまっているということだ。タイトルのわからないままの、表紙がとれてなくなってしまっている本のほうが面白いということになるのである。表紙がとれてなくなっても貸本屋には並べられていた。マンガの「サザエさん」などは、四コママンガであるから、ページ数など関係なく、どこから読んでもよかった。それに、サザエさんのキャラクターを見ただけで「サザエさん」という本であることがすぐわかった。まわし読みをされている本は生き生きしているようにさえ思えてくる。本棚などにおさめられることもなく、茶の間の片すみに放ってあるように置かれてある。今、表紙がとれてなくなっている本などないだろう。そんな本を読んでみたい。まず、不可能だろう。







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