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評者◆ベイベー関根
自分を肯定せよ! ネット漫画で! あれ、前回もこんなこと書いた?
No.3400 ・ 2019年05月25日




■さて、前回の続きで、紙で刊行されたネット漫画の話な。今回は、これも話題になってた十日草輔『王様ランキング』1~3巻。
 ボッス王国の第1王子ボッジは、口がきけず、剣ももてないくらい非力なので、次期国王には第2王子のダイダを推す声が強かった。しかし、ボッジ自身は王子になる気満々。呪われた暗殺一族の生き残り、カゲが友達になってくれたり、ふだんは厳しい継母がボッジのケガを超能力で助けてくれたりするけれど、前途は多難……。遺言で跡継ぎにボッジを指名した王はほどなく病で亡くなるが、そこに魔神が現れ、ボッジを指差して不気味に笑ったかと思うと消えてしまう。新国王発表の席で新国王に指名されたのは、はたして弟のダイダ。屈辱に転げ回るボッジは、城を出て旅に出る……(2巻まで)。
 という、『ジャンプ』的な世界観や演出法を換骨奪胎して(タイトルになってる「王様ランキング」ってのも、「天下一武道会」みたいに、「誰がそんなもん決めるわけ?」というものだしね)、新しい童話を作ろうという狙いと見た。その意気やよし!
 著者の十日草輔は、昔マンガ家や絵本作家を目指していたこともあるらしいが、40過ぎで脱サラしてマンガを描き始めたという「マネしちゃダメ、絶対!」物件な方。マンガ投稿サイトに本作を発表し続けているうちに、SNSでバズって単行本化されることになったというんだから、これまた「マネしちゃダメ、絶対!」物件だなあ。
 そうした長年の苦節の末にモノにした作品だけに、当初絵が安定しないというきらいはあるけど、さすがに話に奥行きがあるし、見せ方も堂に入った感じで、いやいや立派なもんです。
 で、前回の『ダルちゃん』もそうだけど、どちらも自分探しと自己肯定がテーマになっているのが、今っぽいなあという感じ。何となくだけど、ネットの方が読者自身に近い分、表現がナイーヴになるのかなー。というか、ネットという媒体がそういうテーマに実は向いているのかもね。
 もひとつ、紙媒体の連載だとこうならないんじゃないかなあという感じもあるんだよね。『ダルちゃん』とかだと、週に4ページで、毎回どびゃーみたいな事件が起こるわけでもないので、紙媒体だと編集がしびれを切らしちゃうんじゃないかと思うんだよね。『王様ランキング』の方も、一回あたりのページ数はまちまちながら、話のペース自体は決して早くない(『ジャンプ』の人気作とかもそうではあるけど、人気がないと逆に難しいんじゃないかね?)。二作品の方向性は逆のようだけど、どちらも読者(ないし編集者)の意向を忖度しすぎず、しっかり描いてるってことなんだろな。作者がペース配分を按配できるのも、ネット漫画のいいとこかと。
 とはいえ、結局このマンガ、どういう人に向けて描いてんの? という気もするけどな。要は幼稚なオトナ?(苦笑)







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