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評者◆伊達政保
芸能によって沖縄の現在を撃つ――5月31日、上野水上音楽堂で「風車(カジマヤ)の便り~戦場(イクサバ)ぬ止(トド)み音楽祭」
No.3410 ・ 2019年08月03日




■5月31日、上野水上音楽堂で「風車(カジマヤ)の便り~戦場(イクサバ)ぬ止(トド)み音楽祭」が開催された。チラシのキャプションに「辺野古新基地建設を絶対に許さない!! 普天間基地即時無条件返還!! 高江へリパッド撤廃!!」とあるように、沖縄の基地問題を前面に打ち出したイべントなのだ。たまにある市民集会にコンサートを加えたものとは全く異なる「場」が、そこには出現した。
 出演者は沖縄から、若手の唄者・世持桜、ガチャピンこと上地一也とマルチーズロック、今年メジャー・デビューした猫の着ぐるみシンガーむぎ(猫)、沖縄シンガーソングライターの重鎮・海勢頭豊、そして沖縄唄者の代表の一人である古謝美佐子など。本土からは、元こどもバンドで俳優でもある・うじきつよし、マルチジャズメン・梅津和時、白崎映美、そしてホストバンドとして不破大輔率いる渋さ知らズオーケストラなど、ミュージシャンばかりではない、劇団水族館劇場の別ユニットさすらい姉妹が、ゲス卜に元状況劇場の怪優・大久保鷹、沖縄の彫刻家・金城実を向かえて「陸奥の運玉義留(ウンタマギルー)」作・演出・翠羅臼を上演。音楽人や演劇人を巻き込んだこのイベント、表現として何でもありのように見えるが、基底は芸能によって沖縄の現在を撃とうとしているのだ。
 開演前、出演者と観客の一部は首相官邸前でスタンディングを行った。海勢頭氏やさすらい姉妹の歌、稲葉博(沖繩平和サポート代表)や金城氏などのアピールの後、集まった人々と共に会場に合流していった。
 渋さの小編成をバックにうじきの風刺の利いたロック、そのあと世持らのしっとりとした沖縄民謡。そして白崎映美が演劇「まつろわぬ民」の劇伴卜リオ(全て渋さメンバー)と東北6県ろ~るショー!! メンバーでもある梅津、渋さホーン隊と劇団風煉ダンス有志を従え、劇の再現のように歌い上げる。まるで東北から沖縄へ共闘のエールのようだ。マルチーズロックは梅津らのホーンも加わり厚みのある轟音で沖縄の現在を表現していた。東北と沖縄を通底しようとするさすらい姉妹の芝居を挟み、むぎ(猫)のパフォーマンス・ヴォーカルに会場は喝采。
 圧巻は渋さ知らズオーケストラをバックに歌う古謝美佐子、まさかこの共演が聴けるとは、拍手が鳴り止まない。海勢頭氏の歌を挟み、最後はダンスあり舞踏ありの渋さ知らズ、県民投票の呼び掛け人元山仁士郎氏も登場、圧倒的な演奏と故・片山広明の大人形に会場は大盛り上がり。締めのアピールには沖縄平和運動セン夕ー議長山城博治氏、金城、稲葉氏らと「沖縄を返せ」を歌い終演した。
 ノンジャンルで怒濤のようなステージだったが、今後の課題も伺える。7月には沖縄でも開催されるが、何とか成功させたいのだ。







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