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評者◆伊達政保
芸能で沖縄の現在を撃つ試み、ここは沖縄なのだ――沖縄で7月「風車の便り~戦場ぬ止み音楽祭 2019」が開催
No.3411 ・ 2019年08月10日




■沖縄で7月「風車の便り~戦場ぬ止み音楽祭 2019」が開催された。まずは12日辺野古、キャンプシュワブ・ゲート前テント。昼からの座り込み行動があるため10時開始。よって朝早くのバスで那覇から2時間半。テントの顔とも言える彫刻家・金城実氏が待ち受け、人々が集まってくる中、渋さ知らズのホーン隊中心による演奏が始まりダンサーも含めてテン卜前を練り歩く。渋さならではのダイナミックな音楽に、フェンス内の米兵は何が始まるのかとこちらを伺っている。続いて「さすらい姉妹」による芝居「陸奥の運玉義留」(作/演出・翠羅臼)がテント前の路上で上演された。山谷や寿町の寄せ場などで路上芝居を行ってきたこのユニッ卜、まさにこの場にふさわしい。沖縄、東北を舞台として琉球とアイヌを通底しようとするこの芝居を、大久保鷹ら出演者は途中のスコールをものともせず熱演。最後は海勢頭豊氏の歌でイべントを終え、その後座り込みが行われた。
 夜は那覇新都心公園内の特設天幕ステージで「天幕渋さ」と題した渋さ知らズオーケストラの単独公演。テントは軽量化した竹の骨組みで大きな凧を伏せたような形、三百人は収容できる。今年、渋さはこのテン卜を持ってあちこち公演を行う予定。正面には小テントが幾つか並び、飲食などのマルシェとなっていた。
 ライブは渋さ特別編成チビズからスタート。合間に劇団「風煉ダンス」の芝居(白崎映美も劇中歌一曲)を挟み、うじきつよしのギターを加えてフルオーケストラによる強烈な演奏。ゲストに沖縄民謡界の巨匠・大工哲弘氏を迎え、渋さをバックに「生活の柄」「美しき天然」「お富さん」などを歌い上げた。当然歌うだろうと思っていた「沖縄を返せ」は歌わず「悲しくてやりきれない」を歌ったのは、沖縄の現状への心情なのかも知れない。最後にソロで極め付け八重山民謡「トゥバラーマ」。それまで興奮していた観客が静かに聞き入っていた。やはりここは沖縄なのだ。その後渋さの怒濤のような演奏と熱狂でライブは終了した。
 翌13日は昼から同じ天幕で「戦場ぬ止み音楽祭」。渋さチビズから始まり、島唄の堀内加奈子、白崎映美は「風煉ダンス」を従え、演劇「まつろわぬ民」のシーンを再現するかのように歌い、石原岳&卜ディ、渋さを加えたマルチーズロックなど、海勢頭豊の歌に米軍演習場実力占拠の喜瀬武原闘争を思い出し、地元のフラチーム「ウィオハナフラ」、アンニュイで恐ろしくもある池間由布子の歌、「さすらい姉妹」の芝居、最後は渋さ知らズにラップの大袈裟太郎やPJが加わり、盛り沢山で終了した。芸能で沖縄の現在を撃つ試み、少しは出来たと思う。







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