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評者◆秋竜山
よけいなことを言わないで、の巻
No.3416 ・ 2019年09月21日




■誰が食べても、おいしい。人間の味覚の不思議は、おいしいものは、おいしいということである。絶対味覚とでもいおうか。美人についてもいえるだろう。山本富士子といえば、絶対美人であった。一〇〇人が一〇〇人とも美人と答えただろう。答えないほうがどうかしている。もし、九十九人が美人だと答え、一人が答えられなかったとしたら、その一人はどうかしていただろう。どうかしているから答えられないということだ。九十九人が美人と答えられなくて、一人だけが美人だ!! と答えたとしたらどーだろうか。そりゃ答えるだろう。女房であったりして。
 山口路子『オードリー・ヘップバーンの言葉――AUDREY』(だいわ文庫、本体六五〇円)で、〈私は自分を美人だと思ったことがありません。〉と、オードリーが言ったという。美人のくせに美人でないとは、どーいうことか。不美人が自分のことを、〈私は自分を美人だと思ったことがありません。〉だったら、話はわかる。「私も、そーだと思います」と、いえるだろう。ところが、自分が美人だと思ったことがありません!! と、答えているが、「アラ!! 美人でなくて、わるかったわね」と、目をつり上げる。それが女性というものである。自分でいう分にはいいが他人にいわれるということは、不ゆかいとなる。たぶん山本富士子だってそーだと思う。しかし、オードリーが、そのような発言をしたということは驚きである。「あなたが美人でなくて、誰が美人でしょうか」と、いいたくなるだろう。
 〈世界中の女性が憧れている女性の、これはおそらく、本音です。息子のショーンも「母は、自分のことを美人だとは思っていなかった」と語っていて、その発言の様子から、母オードリーが常日頃からそういったことを口にしていたことが想像できます。コンプレックスがたくさんあったのです。とくに胸がないことについては、デビューしたてのころ、胸に詰め物をして写真を撮るという屈辱を味わったこともあるくらい。〉(本書より)
 オードリーが胸がなくて、それがコンプレックスであったなど、ちっとも知らなかった。知ったからといって、それがなんですか!! と、いいたいくらいだ。オードリーが巨大なオッパイの持ち主であったとしたら、それこそオードリーでなくなってしまうだろう。オードリーはオッパイ不用です。第一、オードリーのあの美人顔を見てみるといい。胸とかオッパイとか、あってはいけないものである。美女だからオッパイ不用というわけではなく、オードリーという美女には胸は不向きであるということだ。ペッチャンコでいいのです。
 〈セックス・アピールというのは、心の深いところで感じるもの、見せるよりは、感じさせるものなんです。(略)「私はグラマーじゃないのはよくわかっています。けれど、セックス・アピールというものは、サイズの問題だけではないのです」「私は女らしさを証明すするのに、ベッド・ルームを必要としません。グラマーが自慢のスターがヌードで表現することを、私は服を着たままで表現できます。木からリンゴをもぐとか、雨のなかに立っているとか、そういう状況です」ちょっとムキになっている感もあります。〉(本書より)
 よけいなことを言わないで下さい。と、いいたいところだが、やっぱり、いいたいのかねぇ。オンナだもん……か。







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