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評者◆秋竜山
あらためて、新発見、の巻
No.3298 ・ 2017年04月08日




■あらためて、いわれてみると「たしかに」と、発見したような気分にさせられるものだ。本川達雄『ゾウの時間 ネズミの時間――サイズの生物学』(中公新書、本体六八〇円)での、こと。この本は、一九九二年八月二五日初版とあるから、かなり昔に読んでいるはずである。昔のことは、記憶にとぼしい性格であることからして、新鮮に新刊を読むようになる。〈動物の、いちばん動物らしいところは、動くことである。〉と、本書でいう。私が、あらためて……と、いうのはある個所である。動物を、あらためて、いちばん動物らしいというところは、なんていわれると、ハッ!! とさせられるものがある。そして、動物らしいところは、動くことである。と、いうのである。読んで字のごとしである。動物を動物と呼ばない、変な物体としか思えなかった時、よく動く物体であるから動物と呼ぶことにしようとしたのは人間である。人間も動く物体である。他の動物と動くということでは変わりはない。しかし、他の動物は自分たちを動物とはいわない(いうかもしれないけど)。そして人間も動物である。よく、いわれることは、人間も動物であるが、他の動物と違うのは、他の動物は笑わないのに対し、人間だけが笑う。なんて、いう。動物らしいところであり、さらに人間らしさが加わる。他の面ではまったく同じように見えてくるけど。動物が動くものなら、静物は動かない。動かず静かにしている。だから静物だろう。動物を「動物画」。静物は「静物画」。そして、人間は「動物画」とはいわない。「人間画」ともいわない。「人物画」である。人間を動物画と呼ばないのはナゼなんだろうか。
 〈アシカやイルカの水槽をながめていて、こいつらは、なんでこんなに、くるくるくると泳ぎまわっているのだろうかと、不思議に思ったことがある。こう考えてしまうのも、われわれはいつも、なんらかの目的をもって動いているせいだろう。かなり大きな陸上動物であるヒトは、歩くのにも走るのにも、相当のエネルギーを必要とする。だから目的なしに、ヒトは動きはしないだろう。〉(本書より)
 なまけものという動物は木にぶらさがって動こうとはしないようだ。私は実際には見たことがないから、なぜ動かないのかわからない。見たとしてもわからないだろうけど。動かないから、なまけものと呼ぶようになったのだろうけど、人間の眼にはなまけているように見えるだけで、なまけものは、なまけているとは思っていないだろうし、それなりの目的があってのことかもしれない。人間は、病気などしてちょっとベッド生活をしたりすると、とたんに体の筋肉が退化して動かなくなってしまうが、なまけものの動かないのとでは意味が違うだろう。
 〈トビやアホウドリのような大きな鳥は、あまり羽ばたかず、上昇気流を使って滑空して、エネルギーを節約している。滑空中のエネルギー消費量は標準代謝量の二倍にしかならない。〉〈魚ではサイズに関係なく、泳いでいるときには標準代謝量の倍のエネルギーを使う。〉(本書より)
 植物は動かない。動物は動かないと生きてはいけない。植物は動かず立派に生きている。動物のように、あくせくしていない。だから動物と違って植物によっては長寿なのだろうか。全く動くエネルギーを必要としないから。







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