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評者◆伊達政保
みな各音楽の最前線を現在も突っ走っている――渋さ知らズが結成30周年、頭脳警察と山下洋輔トリオが結成50周年の記念ライブやコンサート
No.3418 ・ 2019年10月12日




■昨年はソウル・フラワー・ユニオンが結成25周年を迎え、今年は渋さ知らズが結成30周年を迎えた。だがなんとロックの頭脳警察は結成50周年、そしてフリージャズの山下洋輔トリオも結成50周年を迎えたのだ。ただ長けりゃいいってもんじゃない。山下卜リオの場合はちと事情が異なるが、みな各音楽の最前線を現在も突っ走っているのだ。
 まず渋さ知らズ、「天幕渋さ」と題して、北は下北半島のむつから南は沖縄まで、自前のテント公演を敢行中。また単独主催の野外フェスティバル「渋大祭」を行った。広い公園に設営された5つのステージで、渋さを始め、ROVO、ザゼン・ボーイズ、クラムボン、このフェスのためだけにアメリカから来日したサン・ラ・アーケス卜ラ、ジャズ、ロック、劇団など多彩なジャンルの22グループが出演したのだ。こんなフェスティバル、見たことも聞いたこともなかった。
 そして頭脳警察、新宿花園神社での水族館劇場テン卜での50周年記念ライブを皮切りに、全国でライブを展開中。その合間にレコ一ディングを行い50周年記念ニューアルバム『乱破』をリリース。今年いっぱいライブで駆け抜けるという。結成メンバーのPANTAと卜シ、来年は古希になるとは思えない演奏活動だ。
 頭脳警察と同じ1969年に結成され、衝撃的デビューをしたのが山下洋輔トリオである。69年は1月東大安田講堂攻防戦から始まり、全国学園闘争、学生運動が頂点を迎える年だ。オイラ4月大学入学後、4・28沖縄デー、5月大学立法粉砕闘争、6月アスパック粉砕闘争、反安保闘争、7月早大で全都全共闘決起集会、9月全国全共闘結成大会、10月反戦・反安保・沖縄闘争、11月佐藤訪米阻止闘争とたて続けの闘争の中で、ピットインで山下トリオを聞いているのだが、いつ聞いたか覚えていない。ただそれまで相倉久人氏や平岡正明氏が展開していた、ジャズの土着とか表現構造と活性化理論というものが、現実の演奏として現れたことに衝撃を受けたのだ。
 7月に早大で「JAZZからの問いかけ」と題し、山下洋輔トリオ、相倉、平岡が並んだ、後に田原総一郎のTVドキュメンタリーで有名になったバリケード内のジャズも、闘争に追われて聞き損なった。なぜ彼らの演奏が多くの学生に受け入れられたのか。それは演奏の中にある表現衝動と表現エネルギーのべク卜ルの中に、デモや実力闘争での同じ構造を体感したからだと思う。83年に山下トリオは解散するが、全日本冷し中華愛好会などの文化現象を生み多くの人を巻き込んでいった。この12月には歴代のメンバーやタモリなど多彩なゲストによる50周年記念コンサートが行われる。







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