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評者◆小嵐九八郎
破綻と崩壊寸前の地球――パブロ・セルヴィーニュ他著『崩壊学――人類が直面している脅威の実態』(鳥取絹子訳、本体二〇〇〇円、草思社)
No.3430 ・ 2020年01月11日




■七十五年以上生きていると、やっぱり、この十年ぐらいの気候がおかしいと肌で感じる。特に夏が暑過ぎる。暑いだけでなく、台風が猛猛しくなって、去年は九州・大阪、今年は関東とりわけ千葉周辺の豪雨による被害はでかい。当方は川崎に住んでいるけど、台風19号の大雨で風呂釜の点火装置が駄目になり、修理を頼んだけど同じ川崎で水浸しの家が沢山出て、もとに戻るのに一カ月強もかかった。ま、俺は銭湯好きだからいいけど、娘達が。
 むろん、この異常気象はこの夏、シベリアで一九八一~二〇一〇年の平均より十度高く、アラスカで三十二度、フランスでは四十五・九度(!)となり、カナダ、アラスカ、シベリアで凄え山火事が続出、地球的規模である。
 そういえば、中学生ぐらいまでは早起きの雀の群れなす鳴きがうるさかったが、近頃は見かけても数少ない。塩辛・麦藁トンボも赤とんぼも、山里へと出かけたってなかなか出会えない。いわんや、銀ヤンマ……。
 地球が火照り過ぎ、生態系が崩れかけているとは分かっているが、どんな連関があり、危機はどの程度進んでいるのかを知りたかった、俺は好奇心は老いてもかなりの不勉強者、有耶無耶にしてきた。が、生きている人の中で当方の数少ない畏怖する人間、哲学者が、全国紙で取り上げている本を知った。
 それは『崩壊学』で、サブ・タイトルは『人類が直面している脅威の実態』だ。著者はパブロ・セルヴィーニュ、一九八七年フランス生まれ、農業技師で生物学博士、環境農業や相互扶助の専門家。もう一人、ラファエル・スティーヴンス、ベルギー出身、環境コンサルタント。訳は鳥取絹子。出版社は草思社、値段は本体二千円。
 地球温暖化の原因の石化エネルギーの使い放題は熱工業化で利益の上がる資本の狙いとしても、既に、その資源は尽きる寸前。その後は生物連鎖の破壊、もうガチガチとなっている世界経済システムの落とし穴、社会の混乱を超えての破綻と崩壊寸前の地球の人類について説いている。俯瞰力とデータの裏付けは破格。
 もっと解り易い文や丁寧な解説があれば、二十一世紀の『共産党宣言』ほどのパワーと波及力を持つかも知れない。実際、この本はフランスではかなりのベスト・セラーなのだ。







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