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評者◆凪一木
その33 ビルメンのテレビや映画でのご活躍
No.3434 ・ 2020年02月08日




■新津春子という清掃のスペシャリストがいる。NHK(「仕事の流儀」など)や民放(中居正広の番組など)で何度も取り上げられ、本も多数出版しベストセラーともなっている。日本で初めてのビルメンテナンスの三つのうちの一ジャンルである清掃で脚光を浴びた人と言える。
 彼女の勤務する空港は、テレビドラマで取り上げられてきた花形職場だ。「アテンション・プリーズ」(70)、「白い滑走路」(74)、「虹のエアポート」(75)を初め、八三年には「スチュワーデス物語」の大ヒット、二〇〇三年には木村拓哉が「GOOD LUCK!!」でパイロットを演じる。近年も堀北真希の「ミス・パイロット」(13)、「空飛ぶ広報室」(13)、「キャビンアテンダント刑事」(14)と続く。航空機整備士を長渕剛が演じる「うさぎの休日」(88)や、航空管制官を深田恭子が演じる「TOKYOエアポート~東京空港管制保安部~」(12)、旅行会社社員を伊藤淳史が演じる「あぽやん~走る国際空港」(13)など次第にパイロットや客室乗務員以外の様々な空港のスタッフが主役として登場することになり、幅広くその職種は拡大してきた。
 清掃はというと、二〇〇〇年から一〇年まで放送されたシリーズ「おばさん会長・紫の犯罪清掃日記!ゴミは殺しを知っている」で、主演の中村玉緒が清掃の仕事をするが、コンビを組むのが警備員である。そして、人気女優北乃きいがビルの若き清掃員を主役で演じるNHKドラマ「天使はモップを持って」(13)が登場する。韓国ドラマ「運勢ロマンス」で、ラブコメの女王と言われるファン・ジョンウム演じる主人公は、アルバイトを掛け持ちしているが、まず最初に、ホテルの清掃の臨時雇用となり、トイレ掃除などをしながら、物語が始まる。アメリカでは、エイミー・アービングがシングルマザーの主人公で清掃の仕事をしている感動作『サンシャイン・クリーニング』(09)などがある。
 そして警備である。「セコム」という会社がトップに君臨する。一九六二年に日本警備保障株式会社(現セコム株式会社)という名で創業した。この職業が認知され、一気に世間に知られることとなったのは、あるドラマがきっかけである。
 六五年からセコムをモデルとしたTBS系の「ザ・ガードマン」だ。
 実に六年九カ月続く長寿シリーズとなり、当時まだ発展途上だった警備という業種が知られ、イメージは完全に定着する。「守衛」という名が定着していた警備業を一気に「ガードマン」として知らしめることになった。
 初めにTBSが用意したタイトルは「東京用心棒」である。
 セコム創業者の飯田亮はタイトル変更を申し出て、脚本にもイメージ戦略としての条件を付ける。
 「ザ・ガードマンとは、警備と保障を業務とし、大都会に渦巻く犯罪に、敢然と立ち向かう勇敢な男たちの物語である。昼は人々の生活を守り、夜は人々の眠りを安らげ、自由と責任の名において、日夜活躍する名もなき男たち。それは、ザ・ガードマン」というオープニングのナレーションは、日本中に大きくアピールした。
 さらには鶴田浩二主演で、山田太一脚本のテレビドラマ史上の大傑作「男たちの旅路」は、七六年から八二年に掛けて、NHKで放送された。当時若者に人気のあった水谷豊や桃井かおり、清水健太郎、柴俊夫などが部下として登場し、警備員の存在を再びアピールすることに貢献した。
 一九九七年夏に放送された「ボディーガード」もまた警備が主人公である。長渕剛が主演した最後の連続テレビドラマでもあった。二〇〇五年の「恋におちたら~僕の成功の秘密~」では、草 剛が警備員として登場し、その警備員が、警備をしていたその会社のトップにまで上り詰めるドラマだ。
 近年でも、二〇〇九年に大倉忠義初主演&安田章大(関ジャニ∞)共演の「ROMES/空港防御システム」があり、元消防署レスキュー隊(小林稔侍)の警備隊長が主人公のドラマ「炎の警備隊長・五十嵐杜夫」は、二〇一三年から一六年まで続いた。
 二〇一六年九月から「ガードセンター24  広域警備指令室」が中島健人(Sexy Zone)主演により連続ドラマで現れ、同年のクリスマスに放送された二時間ドラマ「ホテル警備隊 田辺素直」は、元刑事の警備員・田辺(田辺誠一)が主人公である。
 二〇一七年の「4号警備」(NHK)は、窪田正孝という人気若手俳優主演でドラマ化され、同じ年の「わにとかげきす」(TBS)は、お笑いコンビ「くりぃむしちゅー」の有田哲平が深夜スーパーの警備員として主演している。相手役は何と若き美人女優の本田翼だ。
 二〇一八年の「BJ」では、若手俳優の本命、木村拓哉が民間警備会社の「警備員」役として主演している。同ドラマで斎藤工は警備のスペシャリストとして共演だ。
 ドラマだけではない。連続射殺魔として全国指名手配された永山則夫の六九年四月逮捕のきっかけとなった事件では、日本警備保障(現・セコム)の警備隊員に発見され、八二年二月ホテル・ニュージャパン火災のように、警備員軽視が大災害を招いたことや、二〇〇一年七月の明石花火大会歩道橋事故での、市や県警本部と警備会社のニシカン(現ジェイ・エス・エス)の協議不十分が大きくクローズアップされた。
 二〇一八年六月二六日には富山県で、警部補を刺殺し、交番から拳銃を奪って、近くの小学校校門付近で車の誘導などをしていた六八歳の「北陸綜合警備保障」警備員が銃撃され死亡した事件が起きた。
 同じく二〇一八年の八月に、大阪府警富田林署から逃走した樋田淳也容疑者が、九月二九日に山口県周南市で逮捕されたが、はじめに捕まえたのは「警察ではなく、女性警備員だった」と話題になった。
 警備は憧れの職業としても、危険で困難な職業としても、注目され、世に知られている。
 新津春子は、『世界一清潔な空港の清掃人』(朝日新聞出版)を皮切りに、『清掃はやさしさ』(ポプラ社)、『人生を動かす仕事の楽しみ方』(大和書房)、『掃除は「ついで」にやりなさい!』(主婦と生活社)、『ラクラクお掃除・新津式汚れ落とし術』(産業編集センター)などの単行本を初めDVD、絵本と大活躍である。さらにJR東日本のグループ会社「東日本環境アクセス」に、ベトナムからやってきたルオン・ティ・ニャムさんという若き清掃のスターが現れた。
 さて、設備はどうなのか。これが現在のところ、ドラマの主役もメディアでの活躍も、「全くない」のである。
(建築物管理)







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