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評者◆秋竜山
アベノマスクが小さいどころか、の巻
No.3451 ・ 2020年06月13日




■突然、地球上空にUFOがあらわれた。テレビが報道した。「この、タイミングで……」と、誰も(?)が思ったとしても間違いなかろう。新型コロナウイルス騒ぎであるだけに、もしかすると、UFOが新型コロナウイルスを、地球上にばらまきちらしたのでなかろうか。と、思ったとしても間違いではなかろう。アベノマスクが小さいどころの騒ぎではない。アメリカだとか、中国だとか、責任のなすりつけあいをしている場合ではなかろう。でも、UFOがあらわれたことは、すぐ忘れられてしまった。もうすこし問題視すべきでなかったろうか。どこかの宇宙の国から、地球に攻撃をかけているのではないか!! などという人は一人もいなかった。そこまで発想はおよばなかったのである。その昔、ペストという細菌が蔓延した時のことを持ち出す人も誰もいなかった。記録してなかったせいか、当時のことがよくわからなかったのではなかろうか。
 小山慶太『〈どんでん返し〉の科学史――蘇る錬金術、天動説、自然発生説』(中公新書、本体八二〇円)では、
 〈パスツールが生物は自然発生することはなく、微生物にも、“親”がいることを証明した、(略)自然発生説、つまり、生物が親なしで物質から、なんらかの偶然によって生まれるとする説の歴史は古く、古代ギリシャの時代まで遡る。たとえば、アリストテレスは泥からウナギが発生すると考えた。おそらく、ウナギの棲息環境から、このような発想を抱いたのであろう。ほかにも、各種の無脊椎動物やカエル、ネズミなどについて同様の指摘をしている。(略)一七世紀のはじめ、ベルギーのファン・ヘルモントは小麦を入れた容器の口を汚れた布でふさぐと、小麦からネズミが生まれるという“実験”を行っている。〉(本書より)
 恐ろしい。新聞やテレビでは連日コロナで命をたたれた人たちが報道されている。
 〈細菌学者から作家に転じたアメリカのポール・ド・クライフは、病原菌の恐ろしさを次のように表現している。「彼ら(病原菌)は自分たちより何億万倍も大きな人間全体を殺戮しおおせているものである。火を吐くリュウも、ヘビの頭をもった怪物も、その恐ろしさではこれらの生きものにはかなわない」(「微生物の狩人」秋元寿恵夫訳、岩波文庫、カッコ内は引用者)。(略)彼らを退治できるのは細菌学と医療の進歩しかないことを、パスツールは見抜いていた。〉(本書より)
 新型コロナウイルスを戦争にたとえるならば、核兵器のドカンドカンの放射能と、ウイルスの眼に見えない敵とのたたかいと、どちらが恐ろしいのか。くらべようがないかもしれないが、眼に見えない敵に対し手洗いとマスクをしてしのげというほうも恐ろしい。家の中にとじこもって外出するなということなど、どーってことはない。
 あの、日本が全滅した大戦争の時、防空壕にもぐって身をひそめていたことや、フトンをかぶって息苦しかったことなど、経験した人たちも数少なくなってしまっているが、みんなそーやって命を守ったのである。今、家から外へ出るなということに対して文句をいえないのではなかろうか。日本人の「ガマン、ガマン」の国民性からすれば、屁みたいなものである。それでも、ろくなことを考えないのが人間である。むかし、「書を捨てて外へ出よう!!」(もしかすると間違った記憶かもしれないが)と、そんなことをいった天才詩人がいた。その時は、マスクをして、とはいわなかった。今は、必ずマスクをすること。







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