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評者◆秋竜山
発見! 掛け軸の眺め方、の巻
No.3463 ・ 2020年09月12日




■我が家の床の間に、長い間かなり古くから掛け軸がぶらさがっている。中国風である。これを山水画というのだろう。古くさい画風である。古くさいというのは山水画の特徴だろう。私自身まったく知識がないのでよくわからない。だから、床の間に忘れられたようにぶらさがっているのである。床の間の掛け軸はみんな同じような運命のもとでぶらさがっているといってよいだろう。床の間といえば掛け軸と決まっているから、ぶらさげているといったらいいだろう。そして、家のものにも忘れられたようである。まず、そのようなものが床の間にぶらさがっているということに気づかれない。うす暗い座敷であり、あまりその部屋へ入るというようなことがないということもある。そして床の間となると、もっと暗くて、掛け軸の絵さえよくわからない。電気をつけなければまったくわからない。そんなものに興味あるものは家人にはいない。いなくても、一応無くては座敷としておさまらないからということもある。この掛け軸は、どーという品物(作品)であるかというと、まったく価値あるものではない(私がみてもそう思う)。父がどこかで手に入れたのか、ぶらさげたのであった。父のしたことであるだけに家のものは相手にしない(私も)。
 そんな掛け軸であったのだが、ある時、別にどーってこともなく掛け軸に眼をやった。その時、私が思ったことは、この絵は、どの部分から描き始めたのだろうかということであった。すぐわかったことは、下の部分から上へと向かって描きすすめていったのだろうということだ。それは考えられる。上から下へと描いていくということはないだろう。もっとも、どのような絵であっても、下から上へであろう。と、いうことは、眺める時、下から上へと眺めていくということが正しいのではなかろうか。掛け軸の絵の場合、はじめは座って下から眼をやっていて、中腰になって立ち上がって、背のびして眺めていくということになる。しかし、床の間に上がってそのような格好で眺めるというのか。
 そこで考えたのは、床の間の掛け軸は、そこから一旦はずして、巻き物を眺めるように床において、巻き物の場合は右から左へ、そして床の間に掛けてあったのを床におくとなると、下から上へと眼をやっていくということになる。それに床の間に掛けてある山水画を眺めるということは、あまりにも細かい絵であることから、よく眺めるのは不可能であるということだ。
 宮崎法子『花鳥・山水画を読み解く――中国絵画の意味』(ちくま学芸文庫、本体一二〇〇円)で、
 〈では、山水画における仙界イメージは、具体的に視覚的にはどのように山水画のなかに表されてきたのだろうか。仙界の代表である西王母の住む崑崙山や東海の蓬莱や方壷などの仙島は、はるか遠く山中や海中の霞のかなたに存在する理想郷である。また各地の名仙にも必ず神仙にまつわる俗説がある。彼ら仙界の人々は、穴居生活をしているわけではなく、朱塗りの見事な高殿に優雅に暮している。浦島太郎の訪れた竜宮城のようなイメージが、少なくとも漢代の画像石や宋の 絲などに表現された仙界イメージである。〉(本書より)
 仙界へ迷い込むというイメージで眺めていくとたのしいだろう。今まで宝の持ちぐされだったということか。







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