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評者◆添田馨
現代権力論――病原ウイルスとしての「アベ政治」⑭
No.3519 ・ 2021年11月13日




■この国の政治の中枢には、何人かの悪党がまぎれている。やつらは決して大きな勢力ではない。むしろ少数派もいいところであって、本当であれば主流になんかなりえない、卑しい品性の者たちだ。だが、政治の世界の関係構造にはいくつもの伏流が渦をまいており、激流にのまれて消えるかと思いきや、“なんとかの力学”が働いて急に浮上することがあったりする。その不透明な力学じたいはまったく取るに足らない内輪の事情だったとしても、いったん浮上してしまえばこっちのものだと、悪党どもはじつによく心得ている。
 ふた昔くらい前だったら、政治闘争とはそのまま理念やイデオロギーのぶつかり合いを意味した。しかし、現在、政治闘争ということがもしあるとすれば、それは悪党とそうでない勢力とのつばぜり合いを意味することになるだろう。これまでも、政治家の違法行為はいくつもあった。だが、それらは舞台裏の個別のできごととして、発覚すれば厳正な処置がくだされてきた。いまは、それすらも期待できないような、悪党どもの跳梁跋扈する異常事態がつづいている。
 だいたい、政権与党は臨時国会の開催要求が出ていたにもかかわらず、なぜ国会を召集しないのか。国会を開いたところで、野党に元総理の悪事のもろもろを追及されては大変困る。だから開かないのだとしか思えない。あまりにも低級なこの国のそうした政治体質の堕落をもたらした元凶が、ごく少人数まぎれこんでいる彼等悪党どもの目に余る存在なのである。
 森友・加計・桜を見る会の問題など、すべて自分の身からでた錆にもかかわらず、責任をとって辞職するどころか、党内影響力の拡大をいまも画策しているようだ。そういう人間に政治家資格を与えてきたのがこの国の選挙制度であり、民主主義の形骸化したシステムだった。今回の衆院選の結果をみてもその得票数は断トツだった。悪党にきく特効薬はないのだろうか。
(つづく)







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