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評者◆読書少女
時代によって変化していくヒロイン像を通して分かる社会や人々の意識の変化
女の子の謎を解く
三宅香帆
No.3529 ・ 2022年02月05日




■女性によるヒロインに対する考え方を知りたいと思い、ご縁あって拝読させて頂きました。
 フェミニストや男女平等など言われて久しい昨今。本書は、アニメやドラマ、映画にほぼ確実に存在するヒロインについて、女性目線で語られています。

第1部 女性キャラクターの謎を解く――ヒロイン論

 ここでは、時代と共にヒロイン像がいかに変化しているかが実際の作品を例示して書かれています。冒頭に源氏物語の紫式部についての説明から入っていたのが、個人的には好きでした。
 第1部では、ヒロインの種類や典型的なキャラクターについて言及しています。悪女と呼ばれるヒロイン、闘う少女、そして登場人物達をケアしてくれる女性といったものです。また、姉妹でのキャラクターの違いについても書かれていました。
 それぞれの時代によって変化するキャラクターを分析することで、人々が求めている像までも透けて見えるような気がしました。特に「逃げ恥」を用いての解説の中で書かれている、自己犠牲にならないケアの在り方。という言葉。これは現代の男女平等問題や女性の社会進出が背景にあるのでは? と思わされました。

第2部 少女漫画の謎を解く――作品論

 「この国は、少女が好きすぎる」というインパクトのある言葉から始まる第2部。確かに……と頷きたくなるほど、少女が主人公のものが多い気がします。
「彼女たちは必ずしも大人の男性の性欲の対象となるわけではない。」
 ここを著者は不思議に感じ、なぜだろうと疑問を投げかけて本文が始まります。
 少女についての話は、短くまとめるのが難しかったので、ぜひ本文を読んで頂きたいです。少女が主人公の物語が多い理由がなんとなく分かります。また、ここでは少女の話だけでなく、男女逆転ものについてや弱いヒーローの話について言及していました。

第3部 女性の物語の謎を解く――テーマ論

 最後は秋元さんが作ったアイドルグループの話から始まります。
「ネオリベラリズム、略してネオリベ。」
 ここでは市場が私達を取り込んでいく社会で、「競争する」ことでトップアイドルになったAKB48、自由競争から逃げたい人に寄り添い物語を持つ乃木坂46、そして同調圧力に対していかにして個人を守るのか? というテーマの歌詞が多い欅坂46。グループが出来た順番に社会が求めているものが変化しているということを著者は指摘しています。そして、女性の描かれ方に変化が起きていることを、ドラマを例示して述べています。
 本書を通して、著者のヒロイン達に対する愛が伝わってくるとともに、時代や社会情勢が変化するとドラマやアニメ、映画の描かれ方も変わっているのだということが改めて分かりました。姉妹の描かれ方、母娘の描かれ方の言及は、個人的に確かにそうだと納得させられる部分が多かったように思います。
 ぜひ本書を手に取り、女性に対するイメージが古典的なものであったことやテレビやSNS等の影響かも知れないということを、皆さんにも実感して頂きたいです。







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