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評者◆添田馨
現代権力論――病原ウイルスとしての「アベ政治」【22】
No.3551 ・ 2022年07月16日




■自民党の幹事長が、7月の参院選後の「できるだけ早いタイミングで憲法改正原案の国会提案、発議を目指したい」とのたまっているようだが、いいかげん寝言はやめてくれという思いを強くした。
 憲法改正があまりに頻繁に特定政党の政治目標にあがるようになり、選挙があるたびにニュースの話題に上ることも珍しくなくなった。だがしかし、こんな光景に慣れてしまっては絶対にいかんのだ。私たち国民は、そもそも憲法がどういうものなのか、しっかりと理解しておく必要がある。
 前文に「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し」とあるように、それは政府(権力機関)の横暴や暴走に国民の側が鎖をつけるための、国としての最高法規なのである。つまり、政府は憲法によって抑え込まれる側なのであり、その抑え込まれる側が自分を抑え込む憲法を改正しようと考えることは、犯罪者がみずからを裁く法律をじぶんに都合よく改変するようなものなのだ。これがどれほど本末転倒した行為であるか、少し考えれば子供でも分かるだろう。
 憲法前文は、冒頭で「日本国民は……」と語りはじめる。この場合の「日本国民」とはいったい誰を指しているのか? 英文だとこの箇所は「We, the Japanese people」と表記され、「日本国民であるわれわれは……」という積極的な語りだしのニュアンスであることが分かる。つまり、そのように「決意」した主体が語っているのであり、言うなれば、それは憲法の言葉に現れたこの国の一般意志が語っているのである。
 一般意志を書き換えることができるのは、一般意志だけである。数の力を借りて多数派に成りあがっただけの政治党派や政策集団の意向で、そもそも一般意志が変えられるなどということはあり得ないし、またあってはならないのである。
 九条に「自衛隊」を書き込むことで違憲論争に終止符を打つといったアホな議論をまだ言ってる奴がいる限り、護憲の火も消すわけにはいかないのだ。
(つづく)







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